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【障害ある子の将来設計】卒業後なるべく就労できるようにするには? -書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」3

このシリーズではでは、障害者の進路について解説した書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」についてグッと要約してお話します。

知的障害・発達障害のお子さんを持つ親御さんはぜひご参考ください。

この記事では、支援校高等部などを卒業した子どもが、なるべく就労できるようにするにはどんな対応をすればいいのか、についてお話します。

この記事を読めば、障害ある子の就労状況とか、就労できるようになるにはどんなことを身に着けた方がいいんだろうか、などがわかります。

 

アイスブレイク

今週のお題「サボりたいこと」)

アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。

今週のお題は、「サボりたいこと」です。

 

きちほーしは田舎が好き。

だから誰もしらないようななーんにも無いところでまったり過ごすのが好きだったりするのです。

ですが家族は真逆、田舎よりも都会が好き。

子どもも都会のほうが好きなようなので旅行とかも都会方面になりがちです。

 

だからたまには家族のことをほったらかして田舎でまったりすごしたいなー、というのがきちほーしの夢だったりするのです。

はじめに

どうも!きちほーしです!

今回も障害者の進路について解説した書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」についてお話します。

このシリーズでは、書籍の概要と、きちほーしが参考にると思ったところをピックアップし、要約して紹介します。

今回は、支援校高等部などを卒業した子どもが、なるべく就労できるようにするにはどんな対応をすればいいのか、についてお話します。

この記事を読めば、障害ある子の就労状況とか、就労できるようになるにはどんなことを身に着けた方がいいんだろうか、などがわかります。

 


 

 

 

本記事の範囲:1章 18歳の出口から今の進路や療育を考える

この記事では「はじめに」と1章「18歳の出口から今の進路や療育を考える」の一部について要約してお話します。

なお、ここでは、通常学級を「普通級」、特別支援級を「支援級」、特別支援学校を「支援校」と呼びます。

障害ある子の最終進路: 一般就労できるのは3割だけ

障害ある子が最終的にどんな進路をたどるのでしょうか?

厚労省の発表では、支援校高等部卒業生のうち、一般就労できるのは3割ほどです。

この3割の障害者も、授産所や作業所など、月に数千円、多くて数万円程度の賃金で働く障害者が多いのです。

ある支援校高等部の実例: コロナ禍で一般就労できたのは80人に1人

ある支援校高等部の卒業生の例をお話します。

その支援校高等部の卒業生は80人でした。

進路の結果は以下のとおりです。

進路 人数 割合 備考
生活介護 36人 45.0%  
福祉就労 39人 48.7% 月収5千円~数万円
一般就労 5人 6.3% 月収10万円~15万円
ある支援校高等部の卒業生80名の進路

一般就労はたったの5人ですが、それでも過去10年の最高記録で、例年は3人程度だそうです。

コロナの影響が入ってからは1人になったそうで、とても厳しい状況であることがわかります。

就労支援サービス: 17歳になったら就労移行支援を検討しよう

上記のように、卒業生の半分近くが生活介護になります。

親としてはできる限りそのような事態は避けたいですよね。

実際にはどのようにすればいいでしょうか。

学校は就職先を見つけてくれない

学校の先生は卒業させることが最終目的です。

なので就職先は見つけてくれません。

17歳くらいで「今のままでは就職は難しそう…」とおもったら就労移行支援事業所を探した方が良いでしょう。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、就労できていない人を訓練して就労させることを目的とした施設です。

訓練もしてくれるし、その人にあった仕事を一生懸命探してくれます。

一口に就労移行支援事業所と言っても様々で、農業をやっている事業所、パン屋クッキーを作っている事業所、知的障害者のための事業所、精神障害者のための事業所などがあります。

放課後デイサービスと同様に、就労移行支援事業所もその子との相性がありますので、じっくり選んであげましょう。

就労定着支援事業

就労移行支援事業所で訓練して就職できたものの辞めてしまうケースもあります。

そういったケースを回避するために、ジョブコーチのように子どもをサポートするのが、就労定着支援事業です。

その子がしっかりと仕事内容を覚えて、トラブルなく定着できたら役割を終えて去っていきます。

自分の子が働けるかどうかを判断する検査項目

上に書いたように、17歳になる頃には自分の子が働けそうかどうかを判断して、就労移行支援事業に行くかどうか検討したほうが良いです。

ではどんな子が働けるのでしょうか?

自分の子が働けそうかどうかはどうやって判断できるのでしょうか?

7歳(小学1年生)の社会性があれば働ける

障害ある子の将来は学歴ではなく、社会性の有無で変わります。

筆者の経験では、7歳(小学1年生)の社会性があれば働けるようです。

7歳(小学1年生)の社会性とは、以下のことが「一人で」できることです。

  • 学校に行ける
  • 提出物を出せる
  • 給食当番や係活動ができる

もちろんそれ以上の社会性があればあるほど、より高度な就労が可能になります。

具体的には以下の表のような感じです。

社会性レベル 可能な就労先
7歳(小1) 作業所
9歳(小3) 就労継続支援B型
12歳(小6) 就労継続支援A型
15歳(中3) 一般就労
社会性レベルと可能な就労先

わが子の社会性を判定する「S-M社会生活能力検査」

S-M社会生活能力検査」や「Vineland-II」という、社会性が何歳レベルなのかを評価する検査用紙があるようです。

ちなみに2万円~3万円します^^;

特に筆者は義務教育の子供向けに特化した「S-M社会生活能力検査」をよく使っているようです。

「S-M社会生活能力検査」の6つの領域

では「S-M社会生活能力検査」にはどんなことが書かれているのでしょうか?

大まかに6つの領域があります。

(以下は、千葉テストセンター心理検査専門所のページを参考にきちほーし解釈を加筆しました)

項目 概要
身辺自立 衣服の着脱、食事、排泄などの身辺自立に関する生活能力。
移動 自分の行きたいところへ移動するための能力。
外出場面などでの交通ルールを守ったり、安全に気をつけるなど。
作業 道具の扱いなどの作業遂行に関する生活能力。
手指を使った日常生活で必要な動作や家の中の器具を目的に応じて使うなど。
コミュニケーション ことばや文字などによるコミュニケーション能力。
集団参加 対人関係をはじめ、社会生活への参加に関する生活行動能力。
自己統制 図形や数量の理解・処理といった数学的思考を含んだ、問題解決に向かって思考する力。
「S-M社会生活能力検査」の6つの領域

(以下はきちほーしの感想です)

これらの項目は検査項目でもありますが、わが子の訓練ポイントでもあると思うのです。

「S-M社会生活能力検査」の検査項目にかかれていることをより良く理解して、親が訓練してあげることが就職への近道かもしれませんね。

 

下の本は「S-M社会生活能力検査」そのものではありませんが、活用方法と事例について書かれています。

値段もお手頃ですので、読んでみてもいいかもしれません。

 


 

その他 親なき後のために身に着けさせたい社会性

親なき後に向けて、子どもは自分のことを自分でできるようになっていなければなりません。

勉強や仕事ができる前に子どもに今一度確認してほしいこととして、筆者は以下のことを挙げています。

  • 自分一人で朝起きれるか?
  • 自分一人でお風呂に入れるか?
  • 自分一人で洗濯や掃除ができるか?
  • 自分一人で学校や会社へ行く準備ができるか?
  • 自分一人で電車やバス、自転車に乗れるか?
  • 自分一人で必要なものを買いに行けるか?

これもきちほーしの感想ですが、以上は確認したい項目ではありますが、親が訓練してあげた方がいい項目でもあると思います。

働くことで生きがいをもたせてあげよう!

別の記事でも書きましたが、国の支援のおかげで障がい者も経済的には安心して生活をおくることができそうです。

それは働けなくてもです。

 

それでも筆者は子どもたちを働かせたいと思っているようです。

なぜなら、働くことで賃金だけじゃなく、生きがいが得られるからです。

それはきちほーしも全く同意です。

だからきちほーしは、子どものキチノに働ける子にしていきたいと思います。

おわりに

いかがだったでしょうか?

この記事では、支援校高等部などを卒業した子どもが、なるべく就労できるようにするにはどんな対応をすればいいのか、についてお話します。

主な内容は以下の通りでした。

  • ある支援校高等部の例では、コロナ禍で一般就労できたのは80人中1人で、半分くらいは福祉就労、残りの半分は生活介護でした
  • わが子をなるべく就労できるようにするには、17歳になったら就労移行支援を検討することです
  • 自分の子が働けるかどうかを判断するには、「S-M社会生活能力検査」が活用できます。

本文中にも書きましたが、S-M社会生活能力検査の検査項目は、検査項目であると同時に訓練項目でもあると思います。

 

次回からは、第2章。中学~高校までの進路についてのお話をします。

(参考)書籍概要

タイトル

特別支援教育が専門の学校心理士だから知っている 特別支援が必要な子どもの進路の話

著者

山内 康彦

概要

特別な支援が必要な子どもたちは、どう生きていくべきか。小学校や中学校を卒業すれば、それで終わりではない。長い人生を自立して生きていくためには、進路について、なるべく早い段階から考えていく必要がある。
それには何が必要か。特別支援教育が専門の学校心理士である著者が、子どもたちの進路についての方策を具体的に説明する。

目次

第1章 18歳の出口から今の進路や療育を考える

第2章 中学校時代から高校までの進路を考える

第3章 小学校時代から中学校までの進路を考える

第4章 幼・保育園時代から小学までの進路を考える

第5章 未就学期に考えておくこと・取り組んでおくこと

第6章 子どもたちに学力と社会性を身につけさせる工夫(療育教材の紹介)