このシリーズではでは、障害者の進路について解説した書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」についてグッと要約してお話します。
知的障害・発達障害のお子さんを持つ親御さんはぜひご参考ください。
この記事では、障害ある子に向けた中学校進路としてどのようなものがあるのか、メリット・デメリットを交えてお話します。
それぞれの特徴を把握してお子さんにあった進路を検討しましょう。
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アイスブレイク
(今週のお題「本棚の中身」)
アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。
今週のお題「本棚の中身」です。
きちほーしの部屋には本があまりありません。
読み終わったらだいたい売っちゃうんですね。
だから読み終わっていない本が棚にあります。
下3つが今ブログで紹介している本ですね。
では今回もその内の一つを紹介していきましょう。
はじめに
どうも!きちほーしです!
今回も障害者の進路について解説した書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」についてお話します。
このシリーズでは、書籍の中できちほーしが参考になると思ったところをピックアップし、要約して紹介します。
今回は中学校の進路についてです。
中学校の進路には、大まかに支援校と支援級の2つがあり、支援級の中でもさらに2つの進路があります。
それぞれの特徴を把握してお子さんにあった進路を検討しましょう。
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本記事の範囲:3章 小学校時代から中学校までの進路を考える
この記事では、書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」の3章「小学校時代から中学校までの進路を考える」について要約してお話します。
障害ある子の中学校進路は支援級と支援校
障害ある子の中学校進路は大きく2つあります。
中学支援級と中学支援校です。
また支援級の中でもさらに2つのクラスに分かれます。
以降ではそれぞれについて詳しくお話していきます。
ちなみに、もし将来的に子どもを普通の高校へ入らせたいのであれば支援校はもちろん支援級もオススメしません。
なるべく早い段階から中学の普通級に入れることがオススメです。
【障害ある子の将来設計】障害ある子も普通の高校という選択肢がある -書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」6
中学支援級と中学支援校のメリット・デメリット
中学支援級と中学支援校のメリット・デメリットをまとめると下の表のようになります。
支援級 | 支援校 | |
---|---|---|
健常児との交流 | 多い | 少ない |
学習支援 | 多い | 少ない |
専門性のある先生 | 少ない | 多い |
作業訓練 | 少ない | 多い |
その他 | 障害児としての履歴が残る |
中学支援級は学習面が充実する反面、生活面や作業訓練が充実していない。
反対に中学支援校は学習面が充実していない反面、生活面や作業訓練が充実しているという印象ですね。
健常児との交流はどんな意味があるのか
ここで一覧表の一番目に挙げた「健常児との交流」にどんな意味があるのかお話します。
子どもたちは将来的にどこかの職場で働くことになります。
健常者が多い職場と障害者が多い職場では一般的に前者のほうが給与が高いのです。
つまり健常児との交流を重ねることで将来的に給与の高い職場に行きやすくなるということです。
支援級の知的学級と自閉・情緒学級
中学支援級の中にも子どもの障害に応じて2つのクラス分けがあります。
「知的学級」と「自閉・情緒学級」です。
まとめると下表のようになります。
知的学級 | 自閉・情緒学級 | |
---|---|---|
学習スピード | 子どもの学力に合わせる | 子どもの学年に合わせる |
生活単元学習(*1) | 生活単元学習が中心 | やらない |
(*1)生活単元学習とは、生活上の目標に向けて経験する学習のこと。例えば畑の野菜づくりや観察、版画作成など。
(こぼれ話)知的学級にいた
きちほーしの子のキチノは知的学級にいました。
「知的」とついているからウチの子は自閉・情緒学級よりも学力があるのかなーと思っていましたが全く逆でした。
今思うと「知的に障害のある子の学級」を略して「知的学級」だったのかもしれませんね。
そしてこの書籍の筆者も言う通り、この学級に割り当てられる先生は専門性が全くありませんでした。
先生本人は普通級で仕事をしたかったのか、あまりやる気がなく子どもが放置されることもしばしばでした。
健常児との交流もありませんでした。
上の表では支援級のメリットが色々ありますが、そのメリットが保証されているわけではないことも事実なんですね。
生活単元中心のクラスから五教科中心のクラスへ転籍することは困難
一般的に生活単元中心のクラスから五教科中心のクラスへ転籍することは容易ですが、その逆はかなり困難です。
その理由はもちろん、時間の経過とともに学力差が開いていくからですね。
例えば、自閉・情緒学級から知的学級へ転籍することは容易ですが、その逆は困難です。
同様に支援級から支援校の転籍は容易ですが、その逆は困難です。
ただ、最近は障害ある子に対応する塾や、学習支援に特化した放課後デイサービスも増えてきています。
生活単元中心のクラスで生活面の学習をする一方で、塾やデイサービスで学力をフォローするという選択肢もありますね。
教育・進路相談はチームがオススメ
この書籍の筆者は、教育や進路の相談を保護者と担任の間だけで行うよりも、様々な人を交えてチームで検討することを勧めています。
筆者が推奨するチーム構成は以下のとおりです。
メンバー | 役割 |
---|---|
教頭先生 | 内申点の評価や普通級交流など、担任では判断できないことを判断する |
スクールカウンセラー | 普通級への転籍の是非・委員会活動や宿題の量の配慮など、子どもにあった環境について中立的なアドバイスをする |
支援校のコーディネーター | 子どもにあった教育についてアドバイスをする |
放課後デイサービスの児童発達管理責任者 | 子どもの日頃の様子や実態を伝える |
相談支援事業所の相談員 | フェアな立場で保護者の味方になる |
保護者 | 家庭内の方針を決定する |
筆者はできればこのような取り組みを定期的に行うのが良いとしています。
おわりに
いかがだったでしょうか?
この記事では、障害ある子のための中学校の進路についてお話しました。
内容をまとめるとこんな感じです。
- 障害ある子の中学校進路は支援級と支援校がある
- 普通の高校へ進むなら普通級に入ることがオススメ
- 支援級は学習面が充実、支援校は生活面・作業訓練が充実
- 支援級は専門性のある先生が少なく、支援校は多い
- 支援級の中でも生活単元学習中心の知的学級と、五教科中心の自閉・情緒学級に分かれる
- 教育・進路相談は教頭やスクールカウンセラーや支援校コーディネータ等を交えたチームで定期的に検討するのがオススメ
普通の高校へ行けそうか、あるいはどんなに頑張っても支援高校になるのか早い段階でわかっていれば中学進路もあまり迷わないで済みそうですね。
逆に「普通の高校は無理だし、一方で特別支援高校ほど学力が低くもない」みたいなグレーゾーンだと早くから考えた方がよさそうですね。
ではまた!
(参考)書籍概要
価格:1,650円 |
タイトル
特別支援教育が専門の学校心理士だから知っている 特別支援が必要な子どもの進路の話
著者
山内 康彦
概要
特別な支援が必要な子どもたちは、どう生きていくべきか。小学校や中学校を卒業すれば、それで終わりではない。長い人生を自立して生きていくためには、進路について、なるべく早い段階から考えていく必要がある。
それには何が必要か。特別支援教育が専門の学校心理士である著者が、子どもたちの進路についての方策を具体的に説明する。
目次
第1章 18歳の出口から今の進路や療育を考える
第2章 中学校時代から高校までの進路を考える
第3章 小学校時代から中学校までの進路を考える
第4章 幼・保育園時代から小学までの進路を考える
第5章 未就学期に考えておくこと・取り組んでおくこと
第6章 子どもたちに学力と社会性を身につけさせる工夫(療育教材の紹介)