このシリーズではでは、障害者の経済事情について解説した書籍「障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本」についてグッと要約してお話します。
知的障害・発達障害のお子さんを持つ親御さんはぜひご参考ください。
この記事では、知的・発達障害者の主な収入についてお話します。
はじめに
どうも!きちほーしです!
以前きちほーしは就労継続支援施設のことについて調査しました。
その結果、就労継続支援施設の障害者の収入は生活保護を受給できるレベルと言って良い状況でした。
【知的障害支援できるかな?】就労継続支援施設(A型・B型)とは? -知的障害者の働き方-
きちほーしの子どもキチノも将来的にはこの施設に入ると思われます。
この程度の収入しかないのかと思うと親として不憫でなりませんでした。
障害を持つ子の将来の収入のために、親はどこまで何をするべきなのでしょうか?
それを知るためにまずは一般的な障害者の経済事情を知ることが重要です。
そこできちほーしは、障害者の経済事情について解説した書籍「障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本」を読んでみました。
この書籍は障害者の収入と支出、そして金銭管理の方法について解説していて、障害を持つ子の親御さんの不安に応えてくれています。
このシリーズでは、この書籍について、その概要と、きちほーしが参考になったところをピックアップし、要約(※)して紹介します。
(※)著作権を侵害する恐れがありますので、あえてきちほーしが要約します。
この記事では、障害者の主な収入についてお話します。
書籍概要
タイトル
障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本
著者
渡部 伸
概要
知的障害を持つ子の親であり行政書士でもある筆者が、知的障害者を守る社会的セーフネットや親が生前出来ることについて分かりやすく解説しています。
目次
第1部 「親なきあと」の収入と支出を知ろう(障害基礎年金の仕組み;暮らしの場によって変わる収支;毎月の固定費を軽減する;定期的な通院や病気になったときの医療費の支援制度)
第2部 「親なきあと」の経済的に困らない仕組みを考えよう(子どもの生活を支える資産の残し方;日常のお金を管理するために;ひとり残った子どもの経済的なサポート策;ケーススタディ・「親なきあと」のお金の問題)
本記事の範囲
この記事では第1部の1章「「親なきあと」の収入と支出を知ろう」の一部について要約してお話します。
ここの内容は主な収入についてです。
第1部-第1章「親なきあと」の収入と支出を知ろう
障害基礎年金
20歳から受け取れる。ただし、以下の条件が必要。
- 初診日が20歳前であること
- 障害等級が1級~2級であること
- 障害者基礎年金を申請していること
- ただし、所得に応じた支給制限がある
以下に、詳細を記載する。
初診日とは?
初診日とは、障害の原因となる病気やケガについて初めて医師の診察を受けた日のこと。
知的障害の場合は、知的障害が先天性であることが公知であるため、初診日の証明は不要。
障害等級はどのように認定されるのか?
医師に「精神の障害用」の診断書を作成してもらい、それを参考に年金関連の役所が判定する。
おおまかな目安は下記の通り。
障害の程度(等級) 障害の状態 1級 知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの 2級 知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの 3級 知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの
どこに申請するのか?
住所地の市区町村役場の窓口
支給額はいくらか?
支給額は毎年異なる。2021年度の例では以下の通り。
障害の程度(等級) 支給額 1級 97.6万円 2級 78.1万円
支給制限とは?
前年の所得額が一定額を超えると、支給額は半額もしくは全額停止になる。
上記の「一定額」は年度ごとに異なる。
2021年度の例では、3,704,000円を超えると半額停止、4,721,000円を超えると全額停止になる。
ただし、一般的に低収入の障害者がこれらの「一定額」を超えることは極めてまれ。
前年の本人所得額 支給内容 4,721,000円を超える 全額停止 3,704,001円~4,721,000円 2分の1の年金額停止 3,704,000円以下 全額支給
障害厚生年金
会社勤務してからの中途障害が主な対象。
この記事では先天的な知的障害者を対象にしているので、ここでは省略する。
全国共通の手当 20歳未満の障害児および保護者対象
特別児童扶養手当、障害児福祉手当。
全国共通の手当 20歳以上の障害者対象
特別障害者手当。
令和2年4月よりの適用例では、月額27,350円(年額328,200円)(参考: 特別障害者手当について 厚労省)。
地方自治体の独自の手当
地方自治体によって独自の手当が支給される。大都市圏に多い。
東京都の例では、児童育成手当、重度心身障害者手当、心身障害者福祉手当など。
就労による収入
障害者の多くは就労継続支援施設での就労によって収入を得る。
収入額は施設によって異なるが、月収1.5万円~7万円。
一般企業にも就職する場合もあるが、少数派であるためその収入についてはここでは省略する。
【知的障害支援できるかな?】就労継続支援施設(A型・B型)とは? -知的障害者の働き方-
(参考)障害等級の認定結果に納得できなかったら
障害等級1級と認定されると思ったら2級だった、2級にすら認定されなかったなど、障害等級の認定結果に不満が残る場合もある。
この場合は、審査請求・再審査請請求、によって希望の等級に認定される可能性もある。
社会保険労務士に依頼することで、さらに認定の可能性が向上する場合もある(報酬は受取れる年金の2ヶ月分や10%が多い)。
ただし、成功率は2割程度なので、どうしても認定結果に納得できない場合に試したほうが良い。
おわりに
いかがだったでしょうか?
ここではこの記事では、知的・発達障害者の主な収入についてお話しました。
将来子どもが成人した時の年収をまとめるとこんな感じです。
- 障害基礎年金 80~100万円
- 特別障害者手当 33万円
- 就労による収入 18~84万円
就労による収入が84万円になる人は障害基礎年金が80万円程度で、就労による収入が18万円の人は障害基礎年金が100万円になるでしょう。
そうすると、障害者の年収はザッと150万円~200万円になります。
きちほーしは当初障害者の年収が「就労による収入」しかないと思っていたので少し安心できるかなと思いました。
次回は、生活の収支についてお話します。