このシリーズでは、知的障害の子どもを持つ親に向けて、家族信託の詳細についてお話します。
家族信託の利用を検討しているきちほーしの目線で調査したことをお話します。
今回と次回で、子どもの財産を委託された人(受託者)の仕事について説明します。
今回は、受託者に委託できる財産、受託者になれる条件、受託者の義務についてお話します。
はじめに
どーも!きちほーしです!
きちほーしの子供、キチノは知的障害があります。
キチノには財産管理なんてできそうにありません。
きちほーしの死後、キチノの財産管理はどーしよう?と検討しているところです。
調べてみるとその方法の一つとして家族信託があることがわかりました。
以前の記事でも家族信託について簡単にまとめました。
【知的障害支援できるかな?】家族信託についてカンタンにまとめてみた - きちほーし知的障害者支援できるかな?
司法書士等が家族信託を解説した記事もいくつか調査したのですが、疑い深いきちほーしは素直に読めないんですよねー。
例えば「信託契約書を作るのは難しいよ~?」とか「受託者(財産管理を任された人)の仕事って大変だよ~?」みたいな記事があったりします。
きちほーしには「信託契約書はウチに任せた方がいいよ~?」とか「ウチに受託者代行させた方がいいよ~?」と言っているように見えるんですね。
そこでこのシリーズでは、司法書士に任せずできる方法がないのか、家族信託の利用を検討しているきちほーしの目線で調査したことをお話します。
家族信託できるかな? カテゴリーの記事一覧 - きちほーし知的障害者支援できるかな?
前回は家族信託を利用して子どもの財産管理を委託する流れについてお話しました。
今回と次回で、子どもの財産を委託された人(受託者)の仕事について説明します。
今回は、受託者に委託できる財産、受託者になれる条件、受託者の義務についてお話します。
どんな財産を委託できるのか?
信託財産(受託者に委託する財産)については特に制限はありません。
信託契約の際に交わされる契約書に記載されいてる財産が対象になります。
一般的には下記のようなものがあるようです。
- 現金などの金融資産
- 有価証券(株式、国債など)
- 金銭債権(請求権、貸付債権、リース・クレジット債権など)
- 金融資産を除く動産(ペットなど)
- 不動産など(土地・建物、借地権など)
- 知的財産権(特許権、著作権など)
受託者になれる条件とは?
法的に受託者の条件は「成年である」という以外は特にありません。
極端にいえば、委託者が認めれば赤の他人でも良いのです。
前回の記事にも書きましたが、家族信託とは正式には「民族信託」というもので受託者を家族に限定しているわけではないのです。
ただし、法的に制限はなくても、信託口口座のような家族信託サービスが制限を設定している場合があるので注意が必要です。
受託者の義務とは?
受託者の義務には7つの義務があります。
以下では例を交えながらわかりやすく説明します。
善管注意義務: 信託財産(受託者に委託する財産)を注意して扱う義務
「善管注意義務」とか「自己の財産に対するのと同一の注意義務」という義務があります。
「善管注意義務」の方が重い義務で、信託契約の際に「自己の財産に対するのと同一の注意義務」に軽減することは可能です。
善管注意義務
この義務があると損失が出た時に損失てん補や原状回復の義務(損失てん補責任)が発生します。
例えば信託契約によって不動産売却が委託されている場合は、不動産鑑定や相見積の取得数や価格交渉の程度なども善管注意義務に照らして決まることになります。
自己の財産に対するのと同一の注意義務
家族・親族に受託者を頼みたい場合に善管注意義務のような重い責任を課すと、そもそも受託者を引き受けてくれないでしょう。
それを回避するためには「自己の財産に対するのと同一の注意義務」を適用すると良いでしょう。
この義務は文字通り、信託財産(受託者に委託された財産)を自分の財産と同じ用に注意して管理すればいいよ、という義務です。
例えば自分の有価証券で損失が出ても場合によっては諦めることもあるでしょうから、それと同様に扱えばいいよ、という義務です。
ちなみにこの義務が適用された場合、過失が非常に重大である場合に限ります損失てん補責任が発生します。
忠実義務: 信託財産を利用して受託者の利益になる行為の禁止
これは「利益相反行為の禁止」と言われるもので、信託財産を利用して受託者の利益になる行為を禁止するものです。
具体的には、受託者の財産を信託財産に含めて税金逃れをしたり、委託された家屋の修繕を受託者の会社が受注したりなどです。
分別管理義務: 信託財産と受託者の財産をごっちゃにしない義務
「分別管理義務」は、信託財産と受託者の財産をごっちゃにしない義務です。
委託された財産が現金の場合、一番カンタンな方法は、委託された財産の専用口座を作ることです。
委託された財産が不動産の場合、信託されたこと登記します。
自己執行義務: 受託者が仕事を他人任せにしない義務
受託者は受託者の仕事を他人に任せず自分でやりなさいよ、という義務です。
ですが、最近は事情が変わって、ある程度は第三者に委託しても良い場合もあるようです。
少なくとも受益者そっちのけで管理するような人を受託人に選ばないでしょうし、普通に管理していれば法令に触れることもないでしょう。
普通に受託人を選んでいればあまり気にすることのない義務です。
公平義務: 受益者が複数いる場合は平等に扱う義務
これは「公平義務」と言われるものです。
きちほーしが考えるきちほーし家の家族信託の体制では、受益者がきちほーしとキチノの二人いる場合もあります。
【家族信託できるかな?】家族信託で子どもの財産管理を委託する流れについて -家族信託の詳細1- - きちほーし知的障害者支援できるかな?
この場合受託者であるキチパには、きちほーしとキチノを公平に扱ってもらう、という義務です。
つまりキチパには、キチノの財産管理にばっかりしないで、きちほーしの面倒もみてね、ということになります。
また、信託財産の何かによって収益が出た場合も、きちほーしとキチノに公平に分配してね、ということになります。
ただし、必ずしもきちほーしとキチノの分配が等分である必要はありません。
信託契約が子どもの財産を重視するような内容になっていれば、そちらに多く分配することも可能です。
帳簿等の作成・報告・保存の義務: 貸借対照表・損益計算書等を作る義務
「帳簿等の作成・報告・保存の義務」は、もう少し詳細に言うと以下のようになります。
損失てん補責任: 受益者が求めれば損失をてん補・原状回復する義務
受託者の怠慢等によって、損失などがでてしまった場合、損失の補てんや原状回復を行わなければならないというものです。
ただし、「受益者が求めれば」という条件付きです。
受益者と受託者の間に信頼関係があればさほど気にしなくてもいいかもしれません。
それに、受益者の死後は信託財産を受託者に相続する契約を結べば、受託者が相続する財産が損失分だけ減ります。
その場合は結果的に受託者が損失を補填する形になります。
委託される財産がマイナスになるようなものでなければ受託者を頼まれた家族・親族も受け入れやすくなるでしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回の記事では、受託者に委託できる財産、受託者になれる条件、受託者の義務についてお話します。
次回は、受託者の仕事に関してもう少し詳細に説明します。