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【家族信託できるかな?】受託者の仕事について2 -家族信託の詳細3-

このシリーズでは、知的障害の子どもを持つ親に向けて、家族信託の詳細についてお話します。

家族信託の利用を検討しているきちほーしの目線で調査したことをお話します。

今回は、受託者の仕事の具体例についてお話します。

はじめに

どーも!きちほーしです!

きちほーしの子供、キチノは知的障害があります。

キチノには財産管理なんてできそうにありません。

きちほーしの死後、キチノの財産管理はどーしよう?と検討しているところです。

調べてみるとその方法の一つとして家族信託があることがわかりました。

司法書士等が家族信託を解説したページもいくつか調査したのですが、疑い深いきちほーしは素直に読めないんですよねー。

例えば「信託契約書を作るのは難しいよ~?」とか「受託者(財産管理を任された人)の仕事って大変だよ~?」みたいな記事があったりします。

きちほーしには「信託契約書はウチに任せた方がいいよ~?」とか「ウチに受託者代行させた方がいいよ~?」と言っているように見えるんですね。

そこでこのシリーズでは、司法書士に任せずできる方法がないのか、家族信託の利用を検討しているきちほーしの目線で調査したことをお話します。

家族信託できるかな? カテゴリーの記事一覧 - きちほーし知的障害者支援できるかな?

前回は、受託者の候補者に依頼内容を説明できるようになるために、以下のことについてお話しました。

  • 受託者に委託できる財産
  • 受託者になれる条件
  • 受託者の義務

【家族信託できるかな?】受託者の仕事について1 -家族信託の詳細2- - きちほーし知的障害者支援できるかな?

今回は財産を委託された人(受託者)の具体的な仕事について説明します。

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受託者の仕事は「信託契約書による」

受託者の仕事とはどんなものなのか?

結論から言うと「委託者と受託者の間で決めたことが仕事」です^^;。

もっと正確に言うと、受託者の仕事は、両者の合意で作成し・行政に認可された信託契約書の内容による、ということになります。

そして受託者の仕事は、信託契約書に明記されている仕事と、明記されてない仕事があります。

受託者の仕事 ~信託契約書に明記される仕事例~

繰り返しになりますが、受託者の仕事は「信託契約書の内容による」です。

とは言え、このままでは受託者の候補者にどんなことを依頼するのか説明できません。

なので、一般的に信託契約書にはどんな内容が書かれるのかお話したいと思います。

信託契約書に書かれる内容は、信託財産(受託者に管理を委託する財産)の種類によって異なります。

以下では、信託財産が現金の場合と、不動産の場合を例にしてお話します。

なお、信託財産が有価証券の場合も考えられますが、制約が多くてきちほーしはあまりオススメしません。

受託者の仕事例1(信託財産=金銭の場合)

信託財産=金銭の場合、信託契約書に書かれる受託者の仕事の例として以下のようなものがあります。

飽くまでも信託契約書の記載例なので、以下の項目をどれを記載してどれを記載しないかは、委託者と受託者の間で決められます。

  • 金銭の移転(委託者管理の口座→受託者管理の信託口口座)
  • 信託口口座の管理
  • 各種支払(税金・保険料・管理費修繕費・管理手数料・不動産関連費用など)および各種受取(不動産関連収入など)
  • 受益者の要望・必要に応じた随時・定期的な支払い(生活・介護・療養・納税などの支払い)

受託者の仕事例2(信託財産=不動産の場合)

信託財産=不動産の場合、信託契約書に書かれる受託者の仕事の例として以下のようなものがあります。

飽くまでも信託契約書の記載例なので、以下の項目をどれを記載してどれを記載しないかは、委託者と受託者の間で決められます。

  • 名義を受託者に移転
  • 信託不動産の維持・保全・修繕など
  • 地目変更・分筆・合筆・滅失・建物表題等の登記
  • 火災保険など損害保険契約の変更などの手続き
  • 不動産の売却、購入・開発・建設・建て替え・解体・境界確定作業もできる。

受託者の仕事 ~信託契約書に明記されない仕事例~

信託の目的に沿った仕事

一般的に信託契約書には信託契約の目的が記載されます。

受託者はこの信託契約の目的に沿って、委託者の意図や一般的な常識から導かれる仕事もすることになります。

例えば、信託の目的が「実家の維持管理」であれば、実家の売却は仕事に含まれません。

信託の目的が「委託者が認知症になったときに施設費用にあてるため実家を売却できるようにする」であれば、実家の売却が仕事に含まれます。

このように、信託契約書に具体的に明記されていなくても、信託の目的に沿った仕事をしなければなりません。

受託者の候補者に仕事内容を説明するためにも、「信託の目的」はしっかり設定したほうが良いですね。

以下に、「信託の目的」の例を記載します。

  • 「実家を大切に維持管理するため」
  • 「委託者が認知症になったときに施設費用にあてるため実家を売却できるようにするため」
  • 「(委託者)の老後の安心設計のため」
  • 「高齢病弱な配偶者の財産管理のため」
  • 認知症の配偶者の財産管理のため」
  • 「障害のある子の生涯にわたる財産管理と生活費支給ため」
  • 「財産管理が困難な子に代わって財産管理をするため」
  • 「円滑な相続・事業承継を実現するため」
  • 「浪費癖のある子の財産管理のため」
  • 「資産の有効活用のため」

帳簿等の作成・報告・保存

前回の記事でもお話しましたが、受託者には7つの義務があり、その中の一つに帳簿等の作成・報告・保存の義務があります。

この義務に関連して、文字通りに帳簿等の作成・報告・保存の仕事もあります。

【家族信託できるかな?】受託者の仕事について1 -家族信託の詳細2- - きちほーし知的障害者支援できるかな?

税務署手続き(信託財産による収入が3万円以上の場合)

不動産収入など、信託財産による収入が3万円以上の場合は、「信託の計算書」「信託の計算書合計表」を税務署に提出する必要があります。

上の2つはいずれも1枚の申請書になります。

ちなみに毎年1月31日までの提出期限ですが、ペナルティ等は特にないようです。

(参考)有価証券を家族信託するには制約が多い

信託口口座の制約

有価証券を信託財産とする場合、証券会社は信託口口座という家族信託専用の口座を設けるよう求めてきます。

そのため有価証券を信託財産とするには信託口口座の開設が必須です。

この信託口口座の開設にあたって、一般的に以下のような制約があります。

  1. 信託契約書は司法書士などの専門家が作成する
  2. 委託者と受益者が同一人物(委託者兼受益者)であること
  3. 受託者は委託者の2親等(子ども)~3親等(甥姪・叔父叔母)以内であること

知的障害者の財産を親戚に家族信託するのはハードルが高い

上記のような制約があるので、きちほーしの目論見を実現するにはなかなかハードルが高いと思われます。

きちほーしは将来的にキチノ(知的障害を持つきちほーしの子ども)の財産をキチノの親戚に信託してもらおうと考えています。

ですがキチノが委託者として契約できるか怪しいので、制約の2に触れてしまいます。

加えて制約の3により受託者が2親等以内である証券会社もあるらしいので選択肢が限られてしまいます。

そしてなんとか頑張って信託契約書を自分で作って数十万円かかる司法書士代を節約しようと思っていましたが、制約の1によりそれもダメです。

代理人届」という方法があるらしい

有価証券を家族信託する代わりに「代理人届」という方法があるようです。

これについてはまた後日調査してお話します。

おわりに

いかがだったでしょうか。

この記事では、知的障害の子どもを持つ親に向けて、受託者の仕事の具体例についてお話しました。

  • 受託者の仕事は信託契約書の内容によるという話をしました。
  • 信託契約書に明記される仕事の例について、信託財産が金銭の場合と不動産の場合でご紹介しました。
  • 信託契約書に明記されない仕事の例として、「信託の目的」に沿った仕事があること、帳簿等の作成・報告・保存もあることをお話しました。
  • 信託財産による収入が3万円以上の場合は税務署手続きもあることをお話しました。
  • また、有価証券を家族信託するには制約が多く、「代理人届」という方法があるらしいこともお話しました。

今後も知的障害を持つ子どもの財産管理方法について調査を進めていきます。

ではまた!