障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。 ソーシャルファームという希望 [ 姫路 まさのり ]
このシリーズでは、障害者たちが「稼いで自立」を成功させている事例をまとめた書籍「障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。」についてグッと要約してお話します。
この書籍では喜びと誇りを持って働いている障害者たちを紹介しています。
ここで登場する障害者たちはどうやって成功したのでしょうか?
それぞれがどんな活躍をしているのでしょうか?
今回は「予約の取れないフレンチレストラン」について、前回の続きでレストランを支えるシェフのエピソードをお話します。
アイスブレイク
(今週のお題「手づくり」)
アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。
今週のお題は「手づくり」です。
という話があるので、買ってきました。
ムーンライトクッキーの生地!
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わが子は粘土遊びが好き。
そしてクッキーのようなプレーンな食べ物が好き。
まさにわが子のためにあるような商品です。
うふふふふ…。作るぞーーー。
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本記事の範囲
この記事では「CASE1 10万円で働き方が変わる ──予約の取れないフレンチレストラン──」の一部を要約してお話します。
シェフ・糸井和夫さんのエピソード
最後にシェフの糸井和夫さんのエピソードをご紹介します。
知的障害の姉を持つ
糸井さんはフランス料理で名高いホテルで20年間腕を磨き、その後自分の店を開きました。
そしてさらに20年が経った頃、ほのぼの屋創業者の西澤さんの誘いを受けたのでした。
3人きょうだいの末っ子の糸井さんには知的障害の姉がいます。
お姉さんは糸井さんが物心ついた頃もまだ発語がないような感じでした。
ほのぼの屋に移籍するということは自分の店をたたむということです。
ですが、糸井さんは姉を含めこれまで育ててくれたご両親や支援校の先生への恩返しができると、誘いを受けて即決したのです。
(ちなみに、お姉さんは同じ作業書で働く障害ある男性と結婚したそうです。)
働く障害者に合わせた仕事のスタイル
毎日同じ内容を説明
糸井さんは仕事のスタイルを障害者に合わせるようになりました。
例えば同じ献立を、毎日その内容を事細かに説明します。
最初はカッカしたそうですが、お姉さんのこともあって障害者にある程度理解もしていたので、すぐに落ち着いていきました。
能力や才能を感じる人もいる
糸井さんは言います。
「障害者は、ある日は調子良くても、次の日はガクンと調子が悪くなることがある。
それでも能力高い人や才能を感じる人もいる。
だから根気よく対応すれば応えてくれる。
でも、だからと言って優しさを前面に出してはいけない。
厳しさも植え付けないと進歩しない。」
障害者への期待と愛を感じる言葉ですね。
一歩一歩進む彼らをただ待つことも重要
糸井さんの話を聞いた筆者は思いました。
「ほのぼの屋にかぎらず、障害者の就労施設を見学してきて感じたのは、彼らは1を一気に100にすることはできない。
階段の段差の一つ一つを慎重に確認しながら足を運ぶように、1を2にすることしか考えられない。
そしてその成長は遅いかもしれないけど、千回やれば絶対に伸びる。」
だから支援する側もやたらと手を差し伸べるのではなく、ただ待つことも重要なのかもしれませんね。
障害者の受け入れ体制はまだまだ不十分
実は「ほのぼの屋」は就労支援施設
糸井さんは、言います。
「世の中の福祉は100点中50点くらいと思う。
ほのぼの屋は表向きは就労支援施設(一般就労するまでのトレーニング施設)で、本当はここから社会に出てほしい。
でも出たと思ったらまた戻ってくる人もいるのが現実で、社会が障害者を受け入れる体制がまだ整っていないと感じる。
そして就労支援施設の支援スタッフもかなりしんどい思いをしている。そんな人に一番給料あげないといけない。」
これはきちほーしも共感する話ですね。
障害者を持つ親御さんはわが子をしっかり支援してくれるかどうかを考えてしまうかもしれませんが、支援スタッフの状況も汲み取りたいですね。
支援スタッフはブラックな働き方になってないだろうか?
この糸井さんの話を受けて筆者は思いました。
「健常の支援スタッフの労働条件がブラックになっていないだろうか?
健常の支援スタッフも朝から深夜まで働く情熱と献身性がないと務まらない。」
これは介護業界と似ているところがあって、介護業界同様にブラックになるんじゃないかと危惧しているようです。
主要スタッフの確保も大事
取材を受けた時、糸井さんは70歳でした。
さすがに糸井さんも退職を決意されました。
なんとか後継者も見つかったので一安心ではありますが、糸井さんはほのぼの屋にこう求めました。
「僕ができひんから店閉めよじゃアカン。働く場所を持続させなアカン。」
シェフや支配人など、主要な人材が辞めてしまうと仕事が回らなくなります。
それは障害者の働く場所がなくなってしまうことを意味します。
健常者にそこまでの責任がつきまとうことは見落としがちですね。
おわりに
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は障害者たちが作る予約の取れないフレンチレストランについて、レストランを支えたシェフ糸井和夫さんのエピソードをお話しました。
糸井さんのお姉さんは知的障害者で、糸井さんはご両親・支援校の先生方に何か恩返しがしたいと思い、ほのぼの屋の移籍を決めました。
毎日根気よく同じ説明をするなど、働く障害者に合わせた仕事スタイルをとられていました。
糸井さんは、個人的に社会の障害者の受け入れ体制が不十分と感じているようでした。
感想
支援者を募るなら身内に障害者がいる人がいい?
ほのぼの屋の中核とも言えるシェフは、きょうだいに障害者がいる人でした。
だからこそ障害者に理解があり、障害者への偏見なく西澤さんの誘いを受けたのだと思います。
もし西澤さんのように、新しく障害者向けの事業を立ち上げようとするなら、身内に障害者がいる人を誘うといいかもしれませんね。
「毎日同じ説明」の解決策
ITメーカーに勤めるきちほーしは、なにか引っかかると「ここはこうすればいいのに」と思ってしまいます。
もちろん障害者の現場を熟知しているわけではないので、的外れな案になりかねないですが、草案にはなるかなと思います。
そんなわけでおせっかいなアイデアを一つ。
「同じ献立であっても、毎日根気よくその内容を事細かに説明。」
現場の人はすっかり慣れていると思いますが、それでも毎日説明するのは負担がかかると思います。
なのであらかじめ説明用のビデオなどを撮っておいて、担当者はオープン前にそれを視聴する、というスタイルを取れば良いのではと思いました。
誰でも思いつくアイデアですけどね^^。
「一歩一歩じゃないと進めない」は障害者の強みでもある?
筆者が思った「障害者は一歩一歩じゃないと進めない」という言葉。
わが子キチノには知的障害があるので、これはなるほどなと思いました。
そして逆に、これは障害者の強みでもあるのではと思いました。
障害者は一つ一つの作業を丁寧にやらないと作業ができない。
逆に言うと一つ一つの作業を丁寧にやることには慣れている。
地道だけど丁寧な作業が光る職業に向いているんじゃないかなと思いました。
だから就労支援施設や一般就労ではそういった仕事をよくやっているのかもしれませんね。
「支援スタッフはブラックになっていないか?」に共感
「支援スタッフは介護業界のようにブラックになっていないか?」
きちほーしも同じことを考えていました。
もちろん支援スタッフの現状をほとんど知らないので、そうじゃないかと勝手に思っていただけです。
ですが、障害者施設を多く見てきたであろう筆者も同じように感じているので、そんなに見当違いではないようです。
そしておそらく、介護業界と同様にどんどんサービスの品質は落ちていくのだろうなとも思っています。
今の間に民間でなんとかできるような対策が必要なのではと思うのです。
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やっぱり主要なポジションは健常者?
支配人であり創業者である西澤さんは健常者。
レストランの花形とも言えるシェフも健常者。
主要なポジションに障害者がいてくれると嬉しいのですが、残念ながらほのぼの屋ではそうではないようです。
主要なポジションが障害者。しかも知的障害者。
そんな職場がないか、これからも探してみようと思います。
書籍概要
タイトル
障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。 ソーシャルファームという希望
発売日
2020/03/17
著者
寺本 晃久, 岡部 耕典, 岩橋 誠治, 末永 弘
概要
障がい者は低賃金が当たり前って、おかしくない?
予約の取れないフレンチレストラン、年商2億円、奇跡のクッキー工場、IT、ワイン醸造にアートetc
「稼いで自立」の成功例を紹介する、とっても大事な「お金」の話。
目次
- CASE1 10万円で働き方が変わる ──予約の取れないフレンチレストラン──
- CASE2 生きがいの分配 ──年商2億円に届いた奇跡のクッキー──
- CASE3 福祉×芸術=アール・ブリュット ──試みの先にあるもの──
- CASE4 ワインとIT ──本当の自立とは何か──
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