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【知的障害者向け訪問介助】介助者はどこまでしてくれてどこまで配慮してくれるのか?(1/2) – 書籍「ズレてる支援!」2

このシリーズでは訪問介助の実態について書かれた書籍「ズレてる支援!」についてグッと要約してお話します。

この書籍の内容を理解することで、知的障害者の介助とはどんな仕事なのか?介助という仕事に問題点はないのか?これらを探りたいと思います。

 

今回は訪問介助に関わる介助者が具体的にどんな介助をするのかお話します。

 

 

 

アイスブレイク

今週のお題はてな手帳出し」)

アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。

今週のお題は「手帳」です。

 

紙の手帳については本当に使いません^^;。

企業の展示会に行くとたまーに手帳をもらったりすることはあります。

そんなときはメモ用紙として使ったりします。

やっぱりスマホで書くより早いんですよね~。

 

メモ用紙として使うので印刷されてる日付とかガン無視です(メーカーの人ごめんなさい^^;)。

 

はじめに

どーも!きちほーしです!

きちほーしの子どもキチノは知的障害があります。

この子は親なき後誰かの介助を受けながら生きていくことになるでしょう。

 

しかしきちほーしは介助者が具体的にどんな介助をするのか知りません。

それ故不安なのです。

知的障害者向けの訪問介助とはどんなサービスなのか?

そして介助という仕事に問題点はないのか?

 

このシリーズでは訪問介助の実態について書かれた書籍「ズレてる支援!」についてグッと要約してお話します。

今回は、訪問介助の介助者が、具体的にどんな介助をしてどんな配慮をしてくれるのかについてお話します。

 

本記事の範囲

この記事では「まえがき」と「第1章 生活・支援の実際」の一部を要約してお話します。

どんな介助をしどんな配慮をしてくれるのか

一口に知的障害者と言っても、障害の重さやできることできないことはバラバラですし、性格もバラバラです。

そのため介助の範囲もバラバラになりますし、配慮すべきこともバラバラです。

 

ここではどのような介助のパターンがあるのか、どのようなことに配慮してくれるのか、お話します。

 

主な介助は、食事の支度、健康管理、掃除・洗濯、排泄、金銭管理になります。

食事の支度

介助の内容

介助者の基本は見守りです。

したがって障害者本人ができないことの補佐に徹します。

補佐のパターンはこんな感じです。

 

  • 皿洗いがうまくいっているか、火の元は大丈夫かなどを見守ります。
  • 障害者本人がメニューを決めたあと、買うべき材料を教えることもあります。
  • 調理や味付けは本人に任せますが、横からちょいちょい手をだすこともあります。

必要な配慮

知的障害者はコミュニケーションが苦手です。

思ったことを相手に伝えることができません。

そのため介助者はいろいろなことを察してあげなければなりません。

 

例えば障害者本人が毎日同じメニューを選ぶ場合があります。

この理由は以下のようにさまざまです。

  • 知的障害者にありがちな偏食であることが原因であることもあります。
  • 違うメニューにしたいことを介助者に伝えられない場合もあります。
  • 調理を別の時間帯に来る他の介助者にしてほしい場合もあります。

このように、介助者は障害者本人の意図を配慮して対処しなければなりません。

健康管理

介助の内容

健康管理も以下のようないろんな介助があります。

  • 知的障害者は体調が悪化しても仕事を休もうとしない場合がありますので、それをフォローします。
  • 病院では本人が症状を伝えらことは困難なので、介助者が普段との様子の違いを伝えます。
  • てんかんの発作を抱える障害者もいますので、その場合は薬の服用の介助をしますし、医者と連携して対応することもあります。

必要な配慮

介助者は以下のようなケースがあることを想定して介助しなければなりません。

  • 知的障害者は風邪などで体調が悪くなっても、それが病気だと認識できていない場合があります。
  • また病気だと認識できても言葉に出せない場合があります。
  • 言葉に出せても「仕事を休んではいけない」という思いが勝って休めない場合があります。
  • てんかんについても発作の頻度はまちまちで、数年間発作がおこらない場合もあれば、毎月起こる場合もあります。

掃除・洗濯

介助の内容

食事の支度と同様に、掃除・洗濯についても、介助者の基本は見守りです。

そして、掃除・洗濯の頻度やどこまできれいに掃除するかについては、障害者本人がきれい好きかそうでないかによって違います。

週何日掃除して週何日洗濯するのか、多少汚くてもよいのかかなりきれいじゃないとダメなのかさまざまです。

 

そのため介助者が介助する範囲も実にさまざまです。

例えば下記のようなパターンがあります。

  • 洗濯をする日時を本人が決め、介助者が実行する
  • 洗濯を本人が、掃除を介助者が実行する
  • 洗濯物を干すまでは本人が、干した後のフォローを介助者が行う
  • 本人の部屋を本人が、それ以外を介助者が掃除する
  • 天気などの状況に応じて物干しする/しないの判断を補佐する

必要な配慮

やはりコミュニケーションの問題で介助者はいろいろな配慮が必要です。

 

介助者は障害者本人の意図を察して介助しなければなりません。

 

例えば掃除しないまま放置している場所があったとします。

放置の理由も以下のようにいろいろあるのです。

  • 本人の好みでそうしている場合もあります。
  • 掃除の要望の出し方がわかっていない場合もあります。

 

また、介助者が洗濯しようとすると「ダメ」と言われて制止される場合もあります。

慣れてないと嫌われているのかと落ち込んでしまう介助者もいるようですが、「ダメ」の理由もさまざまなのです。

  • 洗濯したくないから
  • 介助者を嫌っているから
  • 別の時間帯に洗濯してほしいから
  • 別の介助者に洗濯してほしいから

介助者はこういったことも配慮していきます。

排泄

介助の内容

書きづらかったのか書籍には詳細に書かれておらず、

「介助者は本人の清潔と羞恥心に配慮して淡々と対応します。」

としか書かれていません。

(ちなみに知的障害者の全員が排泄できないわけではありません)。

 

ただやっぱり配慮は必要なのです。

必要な配慮

一口に排泄できないといってもいろんな原因があります。例えば下記のようなものです。

  • 本人の身体機能の問題
  • 自宅以外のトイレを使っていいかわからず漏らしてしまう
  • なれない場所でトイレがどこにあるかわからず漏らしてしまう
  • 自宅以外でも使用するトイレを決めてしまっている
  • 排泄はできるが水を流すことが苦手

介助者は障害者本人がどのパターンなのか把握してなければなりません。

金銭管理

介助の内容

金銭管理についても役割分担はさまざまです。

買い物に同伴する場合でも、誰が財布をもつか、誰が支払いをするか、以下のようないろんなパターンがあります。

  • 日常的な買い物で、財布を持ち歩くのが本人 / 介助者どちらかの場合がある
  • 日常的な買い物で、支払い(金銭を店員に渡すこと)が本人 / 介助者どちらかの場合がある

買い物以外にも以下のようにいろいろ支援することがあります。

  • 介助者はお金を使った場所・目的が明らかになるように、なるべくレシートをとっておく
  • 介助者は家の出納簿に毎日会計をつけ、本人や前後の介助者にわかるようにしておく

介助者だけでなく以下のように支援者(*1)が関わることもあります。

  • 日常的な買い物など少額の支払いは本人が、家賃・光熱費など高額の支払いは支援者が代行する
  • 支援者が財産を管理し、生活費を1ヶ月分 / 1週間分 / 1~2日分支給する

(*1)同書籍では「介助者」「支援者」という単語が分けて使われていますが特に定義はされていません。きちほーしの推測ですが、介助者は障害者の身辺自立を支援する人、支援者は障害者の財産管理など身辺自立以外の支援をする人と思われます。

(つづく)

 

 

書籍概要

 

タイトル

ズレてる支援!――知的障害/自閉の人たちの自立生活と重度訪問介護の対象拡大

発売日

2015/11/5

著者

寺本 晃久, 岡部 耕典, 岩橋 誠治, 末永 弘

概要

「支援」は、〈そもそも〉〈最初から〉〈常に〉ズレている! 『良い支援?』刊行から7年。使わせてと訴えた「重度訪問介護」の対象拡大が実現する中、あらためて問われているものとは何か! 支援を使って、地域で自立した暮らしをしている人がいること。集団生活ではなく一対一の支援をモデルにすること……「支援」と「当事者」との間の圧倒的なズレに悩み惑いつつ、そのズレが照らし出す世界を必死に捉えようとする「身も蓋もない」支援の営みの今とこれから!

目次

まえがき ─── 寺本晃久

第一部 ズレてる支援

第1章 生活・支援の実際 ─── 寺本晃久

第2章 何を基準にして支援するか ─── 寺本晃久

第3章  亮佑の自立と自律 ─── 岡部耕典

第4章  ズレてる支援/おりあう支援 ─── 岩橋誠治

第5章  支援は常にズレている ─── 末永 弘

第二部  重度訪問介護の対象拡大と生活の実際

第6章  重度訪問介護という枠組み ─── 寺本晃久

第7章  東京の北多摩地域の事例から ─── 末永 弘

第8章  「重度訪問介護の対象拡大」の経緯とこれからのために ─── 岡部耕典

第三部 次につなげる

第9章  重度訪問介護の対象拡大を重度知的当事者の自立生活支援につなげるために ─── 岩橋誠治

第10章  パーソナルアシスタンスという〈良い支援〉 ─── 岡部耕典

第11章  将来の支援の担い手について ─── 末永 弘

あとがき ─── 寺本晃久