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【障害ある子の将来設計】障害ある子も普通の高校という選択肢がある -書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」6

このシリーズではでは、障害者の進路について解説した書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」についてグッと要約してお話します。

知的障害・発達障害のお子さんを持つ親御さんはぜひご参考ください。

この記事では、障害ある子の4つの高校進路の内、普通の高校系について詳しくお話します。

 

この記事を読めこの記事を読めば、実は普通の高校の中にも障害ある子に向いた高校があるんだということがわかります。

さらに「障害支援してます」とうたっている高校でもそうでもない学校があることがわかります。


 

アイスブレイク

今週のお題「何して遊んだ?」)

アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。

今週のお題は、「何して遊んだ?」です。

 

知的障害の子がいると自分のためになかなか遊べない。

きちほーしはそう思うんですが、他の親御さんはどうなんでしょうか?

 

というのも特に知的障害の子は、2つの要因で友達をなかなか作りにくいからです。

 

1つは、その子自身が激しい人見知りで、他人とのコミュニケーションを避けがちだから。

もう1つは、自分のできないことを他人に受け入れてもらうことが困難だから。

 

こうなると一緒に遊べる友達ができなくなる → 遊べる相手は親だけ → 親は遊べない

 

こんな感じになってしまいますね^^;。

 

まぁ、たまーにパートナーとお互いに子どもを預けて遊びに行くなんてこともやってはいますけどね。

はじめに

どうも!きちほーしです!

今回も障害者の進路について解説した書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」についてお話します。

このシリーズでは、書籍の中できちほーしが参考になると思ったところをピックアップし、要約して紹介します。

以前の記事で、障害ある子の高校進路は、特別支援学校系と普通の高校系の2種類があるというお話をしました。

そして前回は、特別支援学校系についてより詳しくお話しました。

今回は普通の高校系についてより詳しくお話します。

この記事を読めこの記事を読めば、実は普通の高校の中にも障害ある子に向いた高校があるんだということがわかります。

さらに「障害支援してます」とうたっている高校でもそうでもない学校があることがわかります。 

本記事の範囲:2章 中学校時代から高校までの進路を考える

この記事では、書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」の2章「中学校時代から高校までの進路を考える」の一部について要約してお話します。

普通の高校系: 「通常の高校」と「特別な高校」の2種類がある

普通の高校系には、障害ある子の支援があまりされていない「通常の高校(*1)」と、支援されている「特別な高校(*1)」の2つがあります。

この章では、その2つに共通する特徴についてお話します。

(*1)「通常の高校」「特別な高校」は筆者の山内さんがそう呼んでいるだけで、一般的な用語ではありません。

高卒資格がある

通常の高校にも特別な高校にも共通する最大の特徴。

それは高卒資格があることです。

 

前回お話した特別支援学校系には高卒資格はありませんが、普通の高校系には高卒資格があるのです。

通信制だろうが、夜間であろうが、単位制であろうが高卒資格が得られます。

つまり、 どんな高校であっても卒業することができればいろんな進路が開けるのです。

大学受験もできるし、就職条件が「高卒以上」の会社や役所も就職先の候補とすることができるのです。

卒業しないと高卒資格はもらえない

極めて当たり前の話ですが、一生懸命頑張って普通の高校系に入学てきたとしても、卒業しないと高卒資格はもらえないのです。

ちゃんと出席して、テストで落第しないように頑張らなくてはいけません。

なので入学前に、授業についていくことができて、きちんと卒業できそうかどうか見極める必要があります。

以下の章では、通常の高校や特別な高校に入学するにはどうすればいいのか?卒業するにはどうすればいいのかお話します。

通常の高校

通常の高校とは、全日制の普通科・工業高校・商業高校などを指します。

子どもをこの高校へ入学させたい場合、中学の入学前から色々注意が必要です。

通常の高校に入るには中学の内申書が必要

通常の高校に入学するには、五教科の入試試験を受けることはもちろんですが、内申書も必要なのです。

つまり中学の時に内申書をつけてもらわなければなりません。

 

ところが特別支援学級(以降、支援級と呼びます)では内申書がつかないことが多いのです。

内申書はクラスの生徒全員が同じ期末試験を受けることでつけられるのですが、支援級の期末試験はそれよりも簡単なので評価できないんですね。

 

中学入学前に内申書の有無を確認しよう

ただ、最近は支援級でも内申書がつくように配慮する学校も増えてきているので、通常の高校を目指すのなら対策が必要です。

中学の入学前に支援級でも内申書がつくのか、つけていなくても内申書を用意してもらうことは可能なのか、確認したほうがいいですね。

残念ながら学校の方から提案してくることはありません。

こちらから積極的に伝えましょう。

高校は3年分の内申書が要求される

「高校に入るなら中3で普通級に移ればいい」というのを聞いたことがあるかもしれません。

ですがそれは過去の話。

昔は中学3年生の内申書だけあればよかったのでそれでよかったのです。

最近の高校は3年分の内申書が要求されますので注意が必要です。

普通級の内申書と支援級の内申書がある

中学の支援級で内申書の成績が「オール3」だとしても注意が必要です。

内申書には支援級での内申書と普通級での内申書があるのです。

支援級での内申書が「オール3」でも、普通級での内申書に換算すると「オール2」の評価になって、志望校の基準を満たさない場合があります。

内申書ナシでも入学できる高校は「底辺校」の可能性も

内申書が「オール1」だったり内申書ナシでも入学できる高校が見つかるかもしれません。

見つかったからと言って安心してはいけません。

その高校が定員割れの劣悪な「底辺校」である場合もあるからです。

入学を決める前に事前に確認しましょう。

先生のフォローがあるか、生徒の質はどうか、入学できても卒業できる見込みはあるのか。

単に受け入れてくれるから、という理由だけで入学させてはいけません。

普通級に戻るなら中1ではなく小5~6がおすすめ

小学校の不登校児は300人に1人と言われていますが、これが中学校に上がると30人に1人になります。

つまり1クラスに1人程度です。

それだけ中学校というのは小学校よりもストレスが増えるんですね。

 

そして障害ある子にとっては支援級よりも普通級の方がストレスが大きいです。

だから小学校の支援級でなんとかやってきた子が、いきなり中学校の普通級に上がるというのはかなりハードルが高いのです。

 

中学で普通級に戻るよりも、小5~6あたりで普通級に慣れさせておいたほうがいいというのが、学校心理士としての筆者のアドバイスだそうです。

 

特別な高校

普通の高校系でも障害ある子への対応が進んできています。

筆者の山内さんは、その代表的なものとして通信制高校を挙げています。

通信制高校

通信制高校が通常の高校とどう違うのか、比較すると以下のようになります。

  通常の高校 通信制高校
入試 五教科の点数+内申点 内申点は重視しない
面接のみのところもある
1日の授業時間 5~6時間 2~3時間
卒業に必要な単位数 100~110 74
出席への重視度合い 一定数以上の出席が必要
欠席が多いと留年
出席が少なくても良い
欠席が多くても問題なし
先生1人に対する生徒数 40人 少人数~1人
成績評価の方法 テスト中心
赤点のままだと留年
レポート・ミニテスト
学校行事 たくさんの学校行事がある 強制される学校行事はほとんどない
その他 入学直後は中学の復習からはじめる
普通の高校と通信制高校の違い

子どもの負担にはかなり配慮されている

子どもへの負担について、通信制高校は通常の高校に比べてかなり配慮されています。

1日の授業時間は通常の高校の半分くらいだし、卒業に必要な単位数も3割軽減されています。

先生1人あたりの生徒数も少人数~マンツーマンだし、成績評価の方法もレポートやミニテストです。

矯正される学校行事もほとんどなく、入学直後は中学の復習からはじめるのも大きいです。

それでも高卒資格が得られる

通常の高校に比べてかなり負担の軽い通信制高校ですが、それでも高卒資格が得られるのが大きいですね。

履歴書に「支援級」なんて記載せずに「◯◯高校卒業」と書けるのです。

もちろん高卒が採用条件の企業や役所にも応募できます。

入学には小6~中1レベルの学力は必要

学校生活の負担は通常の高校より軽いのですが、誰でも入学できるわけではありません。

入学するためには小6~中1レベルの学力は必要になります。

前回お話した特別支援学校系の高等特別支援学校でも入学するには小4~5レベルの学力が必要でした。

特別な高校に入るにはそれよりも高度な学力が必要になります。

 

その他の特別な高校

通信制高校以外の、公立の特別な高校

通信制高校以外にも、以下のような特別な公立高校もあるようです。

  • 通常の高校内に「通級」がある高校
  • 入試に「インクルーシブ枠(*1)」のある高校

(*1)「インクルーシブ枠」の詳細については、書籍に明記されていませんでした。きちほーし調べでは、インクルーシブ枠とは、障害ある子に配慮した入試方法(面接のみ、など)のようです。

中身が追いついていない現実

上記のように障害ある子に配慮した高校もできてきてはいるのですが、筆者の山内さんは中身が追いついていないという感想を持ったようです。

例えば、先生に特別支援の免許がなかったり、タブレットなど教材の工夫が乏しかったり。

また、インクルーシブ枠や通級など入学時に配慮していても、成績は紙を使った期末試験で評価するため不合格になるケースが多いのです。

これではせっかく入学しても卒業が難しくなってしまいますね。

 

(参考)各高校の入学に必要な学力

これまでお話したことをまとめて、各高校の入学に必要な学力を表にしました。

参考にしてください。

区分 入試時に必要な学力
普通の特別支援学校 小3以下
高等特別支援学校 小4~小5
特別な高校 小6~中1
通常の高校 中2~中3
各高校の入学に必要な学力

おわりに

いかがだったでしょうか?

この記事では、障害ある子の4つの高校進路の内、普通の高校系の通常の高校と、特別な高校について詳しくお話しました。

普通の高校系はどんな特徴があって、入学のためにどんな準備が必要なのか。

主な内容は以下の通りでした。

  • 普通の高校系には「通常の高校」と「特別な高校」の2種類がある
    • 普通の高校系の最大のメリットは「高卒資格」。大学入試もできるし採用条件が「高卒以上」の職場にも応募できる。
    • ただし進級のハードル高く卒業できなければ意味はない。
  • 通常の高校について
    • 入学には試験だけでなく内申書も必要。中学入学前に「普通級の内申書」をつけてもらえるか確認した方が良い。
    • 普通級に戻るなら中学ではなく小5~6の方が良い。
  • 特別な高校について
    • 通信制高校が代表的でおすすめ。授業数も授業時間も強制参加のイベントも少なく負担が少ない。
    • 入学には小6~中1レベルの学力が必要。

どちらを目指すにしても、入学前に入念な準備が必要ですね。

ではまた!

 

次回は、通信制高校にはどんなものがあるのか、具体的な学校名をあげてお話します。

 

 

(参考)書籍概要

特別支援が必要な子どもの進路の話 [ 山内 康彦 ]

価格:1,650円
(2022/4/22 13:31時点)

タイトル

特別支援教育が専門の学校心理士だから知っている 特別支援が必要な子どもの進路の話

著者

山内 康彦

概要

特別な支援が必要な子どもたちは、どう生きていくべきか。小学校や中学校を卒業すれば、それで終わりではない。長い人生を自立して生きていくためには、進路について、なるべく早い段階から考えていく必要がある。
それには何が必要か。特別支援教育が専門の学校心理士である著者が、子どもたちの進路についての方策を具体的に説明する。

目次

第1章 18歳の出口から今の進路や療育を考える

第2章 中学校時代から高校までの進路を考える

第3章 小学校時代から中学校までの進路を考える

第4章 幼・保育園時代から小学までの進路を考える

第5章 未就学期に考えておくこと・取り組んでおくこと

第6章 子どもたちに学力と社会性を身につけさせる工夫(療育教材の紹介)