以前も少し伝えましたが、
きちほーしの子供(以下、きちJr.)は知的障害があります。
子供の教育支援のためと、
ブログネタを兼ねて、
知的障害者教育の本を読んでみました。
ここでは、
その本の概要と感想を書きたいと思います。
書籍「タブレットPCを学習サポートに使うためのQ&A」
概要: タブレットを使った障害者教育の活用方法をQ&A形式で解説
本書の概要をおおまかに説明すると、以下のようになります。
本書のタイトル通り、
メインは2番目のQ&A形式の解説になります
対象読者: 低次の処理が苦手な児童の親
「文章の内容は理解できるけど文字を読むのは苦手」だとか、
「数学はできるけど算数が苦手」だとか、
高次の理解はできるけど低次の処理ができない児童の親が対象読者と思われます。
ただし、高次の処理ができない児童の親でも参考になるところはあると思いました。
参考になったこと
上でも書きましたが、
対象読者は高次の理解はできるけど低次の処理ができない児童の親、
になります。
きちJr.は高次の理解が怪しいところがあるので直接参考にはなりませんが、
基本的な考え方は参考になると思いました。
以下では、きちほーしが特に参考になったところをピックアップしたいと思います。?
タブレットPCをメガネのように使おう
p36より抜粋
「タブレットPCは、低次の読み書きと計算の補助代替に使います。読むことに時間がかかってしまい、内容理解が不十分になってしまう子供には、文章を音声化するアプリを使うことで、文字を音に換える低次の学習をスキップして、直接高次の学習にアクセスできるようにするのです。」
「計算にエネルギーを使ってしまって、算数的思考に使うエネルギーが残っていない子供に、計算をタブレットPCですませ、算数的思考に時間とエネルギーを使えるようになるのです。」
きちほーしが参考になると思った考え方は、
低次の処理をタブレットで補助しよう、
というところでした。
これはいわば、
視力が悪い人のメガネにあたります。
視力が悪い人は文字を読むという低次の処理が苦手なので、
そのままだと勉強や仕事のような高次の処理もできません。
じゃあ視力が悪い人は普通の人と同じくらい文字が読めるようにトレーニングをするのかというと、そうはしません。
メガネという道具を活用して低次の処理を克服し、
高次の処理ができるようになるのです。
それと同じ考え方で、
健常者と同じように学習・生活ができるようにトレーニングするのではなく、
道具や環境を活用して低次の処理を克服し、
高次の処理をできるようにする、
という考え方だと思います。
そこで活用する道具の一つがタブレットです。
字を読むのが苦手なら読み上げ機能で読ませればいい。
字を書くのが苦手なら音声入力をすればいい。
これは目からうろこです。
文字や数字の読み書きは学習の本質じゃない
p36より抜粋
「学習の本質は、知識や語彙を増やし、その知識や語彙を使って考え、考えたことを、予備知識がない第三者でもわかるように伝えることができるようにすることです(中略)。しかし、文字や数字を大きなストレスなしに使うことが難しい子供たちがいます。」
これも目からうろこでした。
いまだにきちほーしは、きちJr.が何を考えているのかわからないところがあります。
「ちゃんと伝えられるようにしなきゃ」
と思って
「そういう時は〇〇って言うんだよ」
と言葉を使うように指導はしていますが、ほとんど改善されていません。
でもきちJr.が言葉を苦手とするなら、
例えば写真や絵で紙芝居を作らせるなど、
言葉以外でコミュニケーションをとれるようにしてもいいのかもしれません。
相手に言いたいことが伝わればいいのです。
学校でも先生が1日の時間割をきちJr.に書かせようとしています。
おそらく1日の振り返りをする機会と字を書く機会を与えているのでしょうが、
きちJr.にとっては字を書くという低次の処理だけで手いっぱいで、
1日の振り返りという高次のトレーニングにはなっていないと思われます。
きちJr.が社会に適応できるためには、
高次処理のトレーニングもさせてほしい。
なので、例えば、
授業風景をいくつか写真にとっておいて、
学んだところをピックアップさせて写真日記を作らせる、
という 高次のトレーニングをさせてもいいのかもしれません。
親の感情を子供は過剰に反応する
p61より抜粋
「(子供は)人から言われると、その声の調子に含まれている感情に子供は反応することがよくあります(中略)。子供は素直に親のアドバイスを聞けないかもしれません(中略)。(タブレットの)機械的な音や振動は、感情がこもっていないので、子供は素直に予定に気づくことができるのです」
きちほーしJrは超繊細で、
きちほーしが語気荒く何か指示しても、
指示に従う従わない以前に耳を塞いでしまうことがあります。
おそらく人並み以上に親のネガティブな感情を感じ取ってしまったのでしょう。
そういう意味ではロボットのように無感情に指示をするのがいいかもしれません。
もっとも、
きちほーしが語気荒くなってしまうのは何度言っても指示に従わないからなので、
単に無感情なだけでは効果的ではないかもしれません。
解決志向アプローチ
- ルール1: うまくいっているなら変えようとしてはいけない
- ルール2: 一度でもうまくいったならまたそれをしなさい
- ルール3: うまくいかないなら何か違うことをしなさい
当たり前のルールですが、忘れがちだと思います。
頭の片隅に置いた方がいいルールですね。
残課題
自分の子供の苦手なところはどうやって見つければいいの?
きちJr.はほとんど言語を使えないので、
親としてはきちJr.が何が楽しくて何が嫌なのか、
何が得意で何が苦手と思っているのかを、
おおまかに推測するしかありません。
本書でも
p64より
「(タブレットの最適な)使い方をするためには、子供のどこに困難があるかを知ることが一番重要です」
とありますが、具体的に困難を知る方法については書いてありません。
苦手判定チェックシートなどがあればいいのですが、
本書にそのようなものはありませんでした。
ただ、
普段の学習態度から推測する方法があるかもしれません。
p114より
「(ある音読ができない子は、幼稚園の頃)読み書きの時間は部屋から出て行って学習に入ろうとしなかったそうです。しかし、絵本の読み聞かせは大好きで、いつも一番前に座って聞いていたようです。」
p118より
「(相談室投稿の子は)好きな理科のプリントはしても国語や算数はしようとはしません」
「『書くのがめんどくさい』『字を見てもイライラするだけ』と言っていることなどから、読み書きの困難が疑われ…」
学校での学習態度をヒアリングして、
何が好きで何が嫌いか、
というのを事細かく調査すると、
子供の苦手が分かるのかもしれません。
調査する好き嫌いは教科だけではなく、
教材や学習過程の特徴(字/写真を使うことが多めなど)にも注目したほうがいいのかもしれません。
タブレットで遊んでしまわないようにするには?
実はきちJr.はすでにタブレットやPCをある程度使いこなしています。
ただし遊び道具です。もはやタブレット中毒です。
きちほーしが学習アプリを開いて見せても、
きちJr.は真っ先に閉じてすぐにYoutubeやゲームを開いてしまいます。
本書の「タブレットPCで授業中に遊んでしまわないでしょうか」にその対策となるヒントが書いてありました。
p88より
「(学習用タブレットは)娯楽アプリはまったく入っていない、という状態でなければいけません。」
「(子供が自分でコントロールできるために)勉強に使うタブレットPCは娯楽に使わない、というルールが家庭でも守られていないといけないでしょう。」
予想はしていましたが、
学習用タブレットで遊ばない、というルール作りが必要なようです。
頭でわかってはいますが、
タブレットは高価なものなので2台も持つわけにはいきません。
可能なら1台のタブレットを、娯楽アプリが一切使えない学習モードと、娯楽アプリが使える娯楽モードに切り替えられるようなアプリがあればいいのですが、そういうのないのでしょうか?
こんなアプリがあったらいいな
学習モードと娯楽モードを切り替えられるアプリ
上にも書きましたが、
1台のタブレットを学習用と娯楽用に切り替えられるアプリがあると嬉しいです。
ただし、子供は親が学習モードに切り替えることに抵抗するでしょうから、
時間が来たり親の遠隔操作で切り替えられる機能もあるといいです。
テキスト文を絵や映像や音楽に変換してくれるアプリ
上にも書きましたが、
きちJr.はそもそも言葉を使えません。
きちほーしの勝手な想像ですが、
おそらく絵や映像や音楽で処理しています。
世の中にある情報の大半は文字や数字で伝えられていますから、
どうしても健常者との間に情報の壁ができてしまします。
なので、
テキスト文をテキスト文を絵や映像や音楽に変換してくれるアプリができると嬉しいです。
まあ、あくまでも、
きちJr.がそれで内容を理解できる、という前提ですが。
まとめ
今日は、
書籍「タブレットPCを学習サポートに使うためのQ&A」、
の概要と、きちほーしの感想をお話ししました。
きちほーしが参考にしたいと思ったのは、以下の通りです。
- タブレットPCをメガネのように使おう
- 文字や数字の読み書きは学習の本質じゃない
- 親の感情を子供は過剰に反応する
- 解決志向アプローチ
ただし、以下のようなまだ解決しきれない課題が残っています。
- 自分の子供の苦手なところはどうやって見つければいいの?
- タブレットで遊んでしまわないようにするには?
これについては、きちほーしも解決策を考えてはみましたが、うまくいくかどうかはわかりません。
最後に、きちほーしの願望として、こんなアプリがあったらいいなというのを書きました。
- 学習モードと娯楽モードを切り替えられるアプリ
- テキスト文を絵や映像や音楽に変換してくれるアプリ
きちJr.を含む多くの知的障害者がよりよい生活を送れるように、
もう少し勉強していきます。