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【知的障害支援できるかな?】信託で運用収入を我が子に渡す -書籍「障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本」のご紹介7-

このシリーズではでは、障害者の経済事情について解説した書籍「障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本」についてグッと要約してお話します。

 

この記事では、わが子への資産の遺し方の1つである「信託」についてお話します。

知的障害・発達障害のお子さんに単にお金を遺すのではなく、引き続き運用してもらいたい親御さんはぜひご参考ください。

アイスブレイク

今週のお題「本棚の中身」)

アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。

今週のお題「本棚の中身」です。

きちほーしが持っている本はこんな感じです。

きちほーしには障害ある子がいるので障害者関連の本を読んでいますが、どの本もおおまかな内容が多くて「わが子にはコレだ!」というのが無いんですよね。

一口に「障害」と言っても障害の程度や障害の箇所も十人十色だから仕方がないですが。

はじめに

どうも!きちほーしです!

以前もお話しましたが、障害者の年収は150~200万円程度です。

生活費や医療費などの軽減措置があるとは言え健常者よりつつましい傾向にあります。

 

 

親としてはこの子たちの負担を少しでも軽くするために、自分の資産を遺したいと思いますよね。

前回は資産を遺す方法として遺産についてお話をしました。

今回は運用を前提とした資産を遺す「信託」についてお話します。

 

不動産や有価証券などの資産があれば、それをうまく運用することによって収入につなげることができます。

ただし資産の運用はある程度勉強が必要で、多くの場合障害ある子には難しいと思われます。

少なくともきちほーしの子のキチノには無理ですね。

 

また、子どもの生活を楽にするために資産を遺したのに、子どもが収入を浪費してしまっては意味がありません。

キチノはいくら収入があっても1日で浪費してしまうでしょう。

 

このように、運用を前提とする資産を子どもに遺すには、運用と管理がポイントになります。

これを他人に信じで託すのが「信託」です。

 

今回は、障害者の経済事情について解説した書籍「障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本」の中から、信託について抽出・要約してお話します。

 

なお、一部きちほーしが独自に調査して補足している場合もあります。

きちほーしが調査した部分については(*きちほーし調査)と記載します。

関連記事

kippoushi126.hatenablog.com

本記事の範囲: 第2部-第1章 子どもの生活を支える資産の残し方

この記事では第2部の第1章「子どもの生活を支える資産の残し方」について要約してお話します。

第2部第1章では、子どもへの財産の遺し方について書かれています。

なお、書籍のタイトルには「残し方」という漢字を使っていますが、きちほーしは「遺し方」のほうがしっくりくるのでそちらを使います。

 

信託について

関連記事「家族信託できるかな?」について

以前にも別のシリーズの「家族信託できるかな?」で同様の話をしています。

それは信託の中の一つの形態である「家族信託」についてでした。

家族信託できるかな?」ではきちほーしが「家族信託」をキーワードにいくつかのサイトを調査したことをまとめています。

 

対して今回の記事は「家族信託」より広い範囲の「信託」についてのお話です。

 

 

信託の基礎知識

  • 資産の所有者が、資産の運用・管理を他人に「信じて託す」こと。
  • 資産の所有者を委託者、委託された人を受託者、収益の割当を受ける人を受益者と呼ぶ。
  • 受託者は受益者への収益配分も管理する。
  • 資産は所有権が受託者に移転する。
  • 資産の所有権は受託者に移転する
  • 信託契約等によって資産が受託者に着服されないような体制がとられる。

受託者になる人

受託者になるための資格は特にないので誰でも受託者になります。

一般的には以下のような人たちが受託者になります。

  • 信託銀行
  • 信託会社
  • 親族
  • 信頼できる第三者

信託監督人

受託者が信託銀行や信託会社の場合は心配ないでしょうが、親族や第三者の場合は横領の危険性があることも事実です。

親族や第三者の横領の危険性を軽減するために信託監督人を置くことも可能です。

多くの場合は税理士などの専門家が信託監督人になる場合が多いようです。

 

信託監督人によって受託者の横領などを防ぐ効果はあるでしょうが、デメリットもあります。

当然報酬が発生しますのでそれなりにコストがかかります。

また、信託監督人を置くことで、受託者は信用されていないのかとやる気を削がれる恐れもあります。

これらのことを踏まえて信託監督人を置くかどうかは慎重に考えましょう。

信託にはさまざまな費用が発生する(*きちほーし補足)

受託者には報酬が発生します。

信託銀行や信託会社にはもちろん必要です。

そして家族同様に気心の知れた親族や第三者であっても無報酬はさすがによくないですし、やる気をなくしますよね。

そして信託監督人を置く場合はその報酬も発生します。

 

また初期費用も大きく発生します。

信託銀行や信託会社の場合は信託契約を公正証書にすることや専用口座の開設を条件とすることがほとんどです。

受託者が親族や第三者である場合でも不安な場合は信託契約を公正証書にしたほうがよいでしょう。

その場合100万円近い初期費用が発生する場合もあります。

 

それらの費用を織り込んでも運用したほうがプラスになると見込んだ場合に信託を考えると良いでしょう。

 

 

信託契約の相談は家族信託普及協会へ

一般社団法人 家族信託普及協会という団体が、家族信託に関する専門家を紹介していただけるようです。

(*以下、きちほーし調査)

同団体のサイトには専門家紹介のページがあります。

このページによると、紹介いただける専門家は以下の2種類です。

専門家 役割
家族信託コーディネータ 家族信託を利用になったほうが良いかどうかの相談に対応する
家族信託専門士 家族信託の手続きについて契約書作成などの実務を担う
一般社団法人 家族信託普及協会が紹介してくれる専門家

ページを見ると専門家の写真やメールなどがリストアップされています。

司法書士の資格を持っている人もいれば、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーの資格を持っている人もいます。

費用については特に記載されていませんが、各専門家に問い合わせることになるでしょう。

生命保険信託

書籍では生命保険信託というのも紹介されています。

特徴

  • 死亡保険金の受取人を信託銀行・信託会社に設定できる
    (普通の生命保険は受取人は個人に設定される)
  • 信託銀行・信託会社は、受益者に生活資金や学費として一括または分割で交付する
  • 資産運用もしてくれる
  • 死亡保険金額2000万円~3000万円が条件のものが多い
  • 管理費用は12万円程度/年

お手頃な生命保険信託もある

上記のようにそれなりにコストの掛かる生命保険信託ですが、筆者はお手軽な生命保険信託を紹介しています。

それはプルデンシャル信託株式会社生命保険信託です。

その特徴は以下のとおりです。

  • 死亡保険金額の最低金額設定がない
  • 財産管理手数料: 2万円程度/年

通常の生命保険信託とくらべてグッとお手軽ですね。

生命保険の年金支払特約

筆者はプルデンシャル信託株式会社の親会社プルデンシャル生命保険の商品も紹介しています。

それは生命保険の割増年金支払特約です。

その特徴は以下のとおりです。

  • 死亡保険金が一括でなく終身年金として割増で支払われる
  • ただし、受取人は指定の障害者手帳の所有者であることが条件

「割増」するということはおそらく保険金を運用しているんでしょうね。

きちほーしのイメージでは内容的にプルデンシャル信託株式会社生命保険信託と同じように見えますね。

   

特定贈与信託

特定贈与信託というものもあります。

  • 信託銀行などが信託財産を管理する
  • 受益者に生活費などを定期的に渡す
  • 贈与税が一定額(3000万円~6000万円)非課税となる

こちらは資産運用をしてくれないようですが、贈与税が一定額非課税になるのが魅力的ですね。

通常は年間110万円以上の贈与に対して課税されます。

なので、数千万円を贈与する予定の人にはお得な話ですね。

おわりに

いかがだったでしょうか?

今回は子どもへの財産の遺し方の1つとして、運用を前提とした資産を遺す「信託」についてお話しました。

 

まとめるとこんな感じです。

  • 信託について
    • 信託とは、資産の所有者が、資産の運用・管理を他人に「信じて託す」こと
    • 受託者になる人は、信託銀行、信託会社、親族、信頼できる第三者がなるのが一般的です
    • 受託者による横領が心配な場合は信託監督人を置くこともできます
    • 定期的に受託者の報酬が発生し、100万円近い初期費用が発生する場合もあります
  • 信託契約の相談は家族信託普及協会へ
  • 信託関連の商品として、生命保険信託や生命保険の年金支払特約もあります
  • 特定贈与信託によって数千万円を非課税にすることもできます

(参考)書籍概要

タイトル

障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本

著者

渡部 伸

概要

知的障害を持つ子の親であり行政書士でもある筆者が、知的障害者を守る社会的セーフネットや親が生前出来ることについて分かりやすく解説しています。

目次

第1部 「親なきあと」の収入と支出を知ろう(障害基礎年金の仕組み;暮らしの場によって変わる収支;毎月の固定費を軽減する;定期的な通院や病気になったときの医療費の支援制度)
第2部 「親なきあと」の経済的に困らない仕組みを考えよう(子どもの生活を支える資産の残し方;日常のお金を管理するために;ひとり残った子どもの経済的なサポート策;ケーススタディ・「親なきあと」のお金の問題)