このシリーズではでは、療育の書籍「誤学習・未学習を防ぐ! 発達の気になる子の「できた! 」が増えるトレーニング」についてグッと要約してお話します。
発達の遅れで子どもの困った行動にお悩みの親御さんはぜひご参考ください。
今回の記事は、療育をする大人の心構え、そして療育の基本として子どもの学ぶ姿勢への習慣づけについてお話します。
はじめに
どうも!きちほーしです!
きちほーしの子ども、キチノは知的障害を持っています。
キチノはお金や時間のような、生活する上で基本的なこともなかなか理解できていません。
なんとかキチノに理解させたい。
そう思い、きちほーしは書籍「誤学習・未学習を防ぐ! 発達の気になる子の「できた! 」が増えるトレーニング」を読んでみました。
このシリーズでは、この書籍について、その概要と、きちほーしが参考になったところをピックアップし、要約(※)して紹介します。
(※)著作権を侵害する恐れがありますので、あえてきちほーしが要約します。
書籍概要
タイトル
誤学習・未学習を防ぐ! 発達の気になる子の「できた! 」が増えるトレーニング
著者
橋本 美恵, 鹿野 佐代子
概要
この本は、数や時間、お金の概念など社会で生活するための具体的な方法をイラスト入りでわかりやすく説明してくれています。
目次
【目次】
1章●「誤学習」「未学習」が大人になってから困る原因に?
(1)発達障害の大人の相談からわかること
(2)成長してから、行動を変えるのは難しい?
(3)子どもへの関わり方、この方法で大丈夫?
2章●心を育て、「わかった」「できた」を増やすトレーニング&療育
・「座って学ぶ」ができると学習がスムーズになる
・「食べる」方法を工夫して偏食を減らそう
・数の世界へようこそ! 数字の並びを覚えよう
・1~10のタイルを3回並べて、「位」の理解につなげよう
・お金を「持って」「使う」は自立の第一歩
・時計を作って「時間」と「生活」をつなげよう
・困った時に「手伝って」を伝えられるようになろう
・自分の物と他人の物の区別を身につける
・折り紙の「やっこさん」で指先の感覚を磨く
・字と字を合わせてひらがなを学ぼう
・「料理」には子どもの力を伸ばす要素がいっぱい
・「片足立ち」は自分でズボンや靴を履くチャレンジ
・和式トイレも怖くない! 「あひる歩き」
・走りながらやり遂げる力を身につける「マラソン」
3章●発達障害のある子の子育て、よその家族はどうしている?
・「発達障害」と診断されて
・イライラと自己嫌悪
・何気ない言葉が辛い……
・療育への一歩を踏み出して
・中学生・高校生になったら
本記事の範囲
この記事では2章「心を育て、「わかった」「できた」を増やすトレーニング&療育」の1部について要約してお話します。
2章の続きについては後日別の記事でお話します。
療育をする大人の心構え
療育は「丁寧」を心がけよう
第2章の冒頭では療育する親の心構えが書かれています。
ざっくりまとめると以下のような感じです。
取り組むことをほめよう!
子どもは何度も何度もやり直し・繰り返すことでできるようになります。
ですが途中で飽きたり投げ出したりするかもしれません。
「また一つ賢くなったね」のように声がけすると、子どもはやり直しや繰り返しを肯定的にとらえるようになります。
「我慢しなさい!」と怒らずやるべきことを明確にしよう!
子どもに我慢することを覚えさせ理性を育てなければなりません。
「我慢しなさい!」「ちゃんとしなさい!」など漠然と怒らず、今やらなくてはいけないことを明確にしてふるまいを導きましょう。
「子どもが嫌がってる!」で終わらず、嫌がる理由を見極めよう!
子どもが課題の途中で嫌になったりした時に、安易に取り組みをやめないようにしましょう。
「難しいから」「どうやったらいいかわからない」「初めてで不安」など、子どもが投げ出す理由を見極めれば嫌がらない工夫につながります。
うまく行けば子どもとの信頼関係も深まります。
「ありがとう」で自立心を育もう!
「ありがとう」「助かったよ」などの言葉を積極的にかけましょう。
成長にともなって「あてにされる」という経験が自立心を養います。
「これやってね」で終わらない。子どものレベルに合わせて援助をしよう!
初めての課題に「これやってね」と口頭で指示するだけでスムーズに行くことはまずありません。
できない度合いに応じて次のように援助の仕方も変えましょう(援助の6段階)。
段階 概要 詳細 1 身体を助けて 大人が子どもの身体全体を後ろから包み込むようにして関わる 2 手を添えて 大人が子どもに手を添えながら導く
手を添える方向も段階的に: 後ろから→横から→前から3 やってみせる 子どもの体の向きと同じ向きで実演する 4 指差し 注目点がわかりやすいように指し示す 5 声掛け 言葉で指示する
指示の仕方も段階的に:「ご飯の前に手を洗おう(直接指示)」→「ご飯の前にはどうするのかな?(間接指示)」6 見守り 「見ているからね」と言って子どもが取り組もうとすることを安心できるように見守る
学ぶ姿勢への習慣づけ
「座って学ぶ」を習慣づけよう
授業中は椅子に座り続けられるよう、自然に座れるのを待つのではなく、積極的に習慣づけましょう。
やり方
- 机の上に、子どもにわかりやすい教材(折り紙、画用紙とクレヨンなど)を置きます。
- 子どもに「○○やろうね」と誘う。
- 子どもが座ろうとしたときにすかさず「すごい!」「かっこいい!」とほめる。
注意!
- 課題をするときは注意散漫にならないように、テレビやパソコンの電源を切りましょう。
- 嫌がるので途中で課題をやめると「やらなくていい」と誤学習します。
嫌がる理由を考えて内容を見直したりやり方を工夫したりしましょう。
こんなときは
- 子どもが椅子に座りたがらない!
→ 座るのが嫌なのか、課題がわかりづらくて嫌なのかよく観よう。 - 座るのを嫌がって椅子から降りてしまう!
→ 戻ってくるまで待ちましょう。下手に追いかけると「逃げたら追いかけっこになる」と誤学習します。 - 課題がわかりづらくて嫌がる!
→ 「何を」「どのくらい」「どのようにするのか」を具体的に伝えましょう。
課題前の挨拶で気持ちの切り替えを身に着けよう
挨拶をすることで子どもの気持ちを「課題モード」に切り替えられるようにしましょう。
課題前の挨拶に慣れたら「いってきます」「いただきます」などにも挑戦しましょう。
やり方
- 椅子に座る前に、大人と子どもがお互いの顔を見て礼をします。
- 大人が「今から◯◯をします」と言ったら、子どもは「お願いします」と言う。
こんなときは
- 子どもが礼をできない
→ 大人が後ろから子どもを抱きかかえるようにして、お腹に手を添えて身体を曲げるように導きましょう。 - 子どもが「お願いします」を言えない
→ まずは大人が代わりに言うことから始めましょう。
「手はおひざ」で待つことができるようにしよう
先生や上司が「◯◯をしましょう」「◯◯やって」と言う前に勝手に課題や作業をするようでは社会生活がうまくいきません。
「勝手に◯◯しちゃダメ!」と否定するのではなく、「手はおひざ」と否定しない言葉で待てる姿勢を身に着けていきましょう。
やり方
- 大人が「手はおひざ」と声をかけたり手を添えたり援助をして(※)「手はおひざ」をできるように導きます。
(※)援助の6段階参照 - 子どもが手をおひざに置こうとしたら、すかさずほめます。
- 「手はおひざ」にしたら、大人は教材を出す。
- 大人が「どうぞ」と言ってから触れさせる。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回の記事は、療育をする大人の心構え、そして療育の基本として子どもへの習慣づけについてお話しました。
まず、療育をする大人の心構えとして、以下のポイントをお話しました。
- 療育は「丁寧」を心がけよう
- 取り組むことをほめよう!
- 「我慢しなさい!」と怒らずやるべきことを明確にしよう!
- 「子どもが嫌がってる!」で終わらず、嫌がる理由を見極めよう!
- 「これやってね」で終わらない。子どものレベルに合わせて援助をしよう!
- 「ありがとう」で自立心を育もう!
次に、子どもの学ぶ姿勢への習慣づけについて以下のことをお話しました。
- 「座って学ぶ」を習慣づけよう
- 課題前の挨拶で気持ちの切り替えを身に着けよう
- 「手はおひざ」で待つことができるようにしよう
次回は生活関連の療育についてお話します。