このシリーズではでは、介護の諸問題について解説した書籍「介護危機 ―「数字」と「現場」の処方箋」について要約しつつ、時おり知的障害者支援とも比較してお話します。
そしてこの記事と次の記事で介護保険施設のサービスの現状についてお話します。
この記事では「施設サービス」についてです。
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アイスブレイク
(今週のお題「夏に見たい作品」)
アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。
今週のお題ははっきりしませんが「夏に見たい作品」っぽいです。
う~ん…。
もうきっぱりいいますが、見たいものに季節は関係ないですねー。
夏といえばホラーでしょうが、季節に関係なくホラーは見たくない!
雪まみれのシーンが多いゴールデンカムイも冬でも夏でも見ます!
年末といえばホームアローンでしょうが、あれはテレビ局が勝手に年末に放送してるだけで、見たければ年末でなくても見ます。
というわけで季節に関係なく今見たい作品といえば…?
TIKITOKの「こんな奥さんおらんやろ」とかかな。
はじめに
心配性のきちほーしが憂う!障害者支援施設は安心!?
どうも!きちほーしです!
きちほーしの子キチノは知的障害があります。
いずれ障害者支援施設などにあずける日が来るでしょう。
でもこの施設にあずければ無条件に安心してよいおでしょうか?
職員たちが誠心誠意取り組んでいても経営に無理が生じればサービスの低下につながります。
心配性のきちほーしは障害者支援施設の問題を把握し、障害者支援に関して親ができることは何かを考えるため調査しようと思いました。
ただ障害者支援に関する記事や書籍が見当たらない。
そこで介護問題に目をつけました。
介護も知的障害者支援も、認知力や判断力が弱い人を支援するという点で共通しており、共通の問題点がありそうだからです。
そうしてきちほーしは介護の諸問題について扱った書籍「介護危機 ―「数字」と「現場」の処方箋」のまとめをはじめました。
【本の紹介できるかな?】介護問題とは?知的障害者支援と共通点は? -介護危機 ―「数字」と「現場」の処方箋1-
このシリーズでは、この書籍について、その概要と、きちほーしが参考になったところをピックアップし、要約して紹介します。
本記事の範囲
この記事では第1章「介護業界の現場で起きていること」の1部を要約してお話します。
介護保険サービスの種類
まずは介護保険サービスの種類について知っておきましょう。
介護保険サービスには以下の3種類があります。
この記事では「施設サービス」についてお話していきます。
施設サービスの現状
施設サービスとは介護保険施設によるサービスです。
有料老人ホームも施設によるサービスではありますが、介護保険施設ではありませんので施設サービスには分類されません。
以下では施設サービスについて詳しくお話します。
施設サービス3種
施設サービスはさらに以下の3種類に分かれます。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム:特養)
- 24時間介護
- 終身施設(要介護者が死亡するまで利用できる)
- 利用者の負担が比較的少ない
- 介護老人保健施設(老健)
- 在宅復帰を目的とするリハビリ施設
- 一定の入所期間をすぎると自宅に戻らなければならない
- 介護療養型医療施設(療養病床)
- 病院の病床の内、長期療養を目的とする(*きちほーし補足)
- 特養・老健より費用負担が高い
介護老人福祉施設(特養)の入居に1年以上待ちも
日本では施設志向が強いようです。
さらに介護老人福祉施設は比較的費用が安いため申込みが殺到してしまっているようです。
(*以下、きちほーし補足)
場合によっては空き待ちに1年以上かかる施設もあるようです。
大人気の介護老人福祉施設ですが巨額の公的財源を必要とする施設介護に緊縮の圧力がかかるであろうことは想像に難くありません。
どこまでサービスの質や利用者の負担が維持されるのか、注意する必要がありそうです。
(*きちほーし補足)2017年度に療養病床の対象者が縮小
療養病床については2017年度で改定されました。
それ以前は医療の必要性が高い患者と低い患者が混在しているためだそうです。
2017年度移行は医療の必要性が高い患者のみが利用できる制度に改訂されました。
その裏には費用負担の大きい療養病床を縮小したいという思惑もあったであろうことは、想像に難くありませんね。
施設サービスの財政負担
施設サービスの運営は公的財源なしでは困難
介護サービスには、専用の施設で利用者が生活する施設サービスと、基本的に利用者が自宅で生活する在宅サービスの2つがあります。
厚労省「平成27年介護サービス施設・事業所調査の概況」によれば営利法人(会社)の割合は次のとおりです。
どの業種でも半分以上が民営ですね。
一方で施設サービスの公益法人の割合は以下のように公営がほとんどです。
介護施設には巨額の財源が必要になり、公的財源なしに運営するのはかなり困難なのです。
施設サービスの補助金: 建設・整備に十数億円
ここで施設サービスの財政負担がいかに大きいかお話します。
例えば東京都の定員120名の施設の建設・整備のために投入される補助金は11.5億円です。
そしてもちろん運営費にも補助金が支給されます。
初期費用だけでも10億円以上かかるのですから自治体には大きな財政負担ですね。
そのため緊縮が進み2015年の改正では、施設の利用者も要介護3以上に絞られ、利用者負担も増加しました。
(*きちほーし調査) 全国に施設サービスを行き渡らせるには数十兆円が必要
仮に日本全ての要介護者に施設サービスを行き渡らせるにはどれだけ必要なのか?
計算好きのきちほーしがまた余計な計算をしました^^。
令和4年4月の全国の要介護1以上の人はおよそ690万人だそうです。
乱暴な計算になりますが上記の補助額の例「東京都の場合定員120名の施設に約10億円の補助金」が全国にも当てはまるとしましょう。
すると690万人全てをカバーする介護施設を建設・整備した場合、57.5兆円の補助金がかかる計算になります。
もちろん東京都以外は土地代も安いのでもう少し抑えられるでしょうが、数十兆円になることは間違いないでしょう。
さすがにこれは無理ですかね。
(参考)核家族化・単独世帯化で介護が困難に
書籍によると日本の介護問題は家庭のあり方が変化したことも関わっているようです。
筆者は以下の2点をあげています。
- かつての日本では同居する家族が育児・介護を行っていたが核家族化・単独世帯化で困難に
- 働く女性が増加し家族だけで介護することがますます困難に
2世帯・3世帯が同居する家庭でなくなったから育児や介護の負担が一部の家族に集中しやすくなってしまったということですね。
逆に言うと日本がかつてのように2世帯・3世帯が同居するようになるとこれらの負担は軽くなるのかもしれません。
今の時代、絵に描いた餅なんでしょうが。
おわりに
まとめ
いかがだったでしょうか?
このシリーズでは、知的障害者支援の問題点を知りたいきちほーしが、似たようなサービスと思われる介護の問題点について調べています。
そしてこの記事では、介護問題について書かれた書籍「介護危機 ―「数字」と「現場」の処方箋」の中から、「施設サービス」の現状についてお話しました。
- 施設サービスの現状
- 施設サービスの財政負担
- 施設サービスの建設・整備の補助金は十数億円
- 公的財源なしでは運営が困難
感想
今回まとめた範囲では施設サービスというものがいかに負担が大きいのかということがわかりました。
素人の浅はかな想像ですが、障害者支援についても施設の負担は大きいのかもしれません。
そうなると場合によっては通所サービス利用の圧力がかかってくるのかもしれません。
さらに「療養病床」の対象者が縮小したという話も見逃せません。
病院通いや入院が必須の障害者さんもいるでしょうから、その人達への支援が低下することも考えられることです。
今後はこれらの観点で障害者支援について調べてみようかと思います。
ではまた!
(参考)書籍概要
タイトル
介護危機―「数字」と「現場」の処方箋
発売日
2017/6/14
著者
宮本 剛宏
概要
介護人材の不足、行政の財源不足の2つの問題が叫ばれる今、介護の自己責任が問われはじめている。
大きな選択肢となるのは「自宅か施設(老人ホーム)か?」。
全ての人が「最期まで自宅で過ごしたい」という願いを実現できるわけではない。
介護業界における問題の本質を暴き、豊富な現場データと実体験をもとに、個人・行政・企業が取組むべき処方箋を提言。
目次
◆第1章 介護の現場で起きていること―介護職の声と顧客データから何がわかるか―
◆第2章 なぜ、介護職12万人、財源1.5兆円が不足するのか
◆第3章 毎年5割成長する介護企業の秘密
◆第4章 こうすれば介護の人材・財政不を解消できる
◆第5章 それぞれの「希望」をかなえるビジネスモデル