いずれ知的障害者は親以外の介助を受けて生活することになるでしょう。
しかし知的障害者の介助とはどんな仕事なのかわからないため不安な親御さんもおられるかと思います。
このシリーズでは訪問介助の実態について書かれた書籍「ズレてる支援!」についてグッと要約してお話します。
この書籍の内容を理解することで、知的障害者の介助とはどんな仕事なのか?介助という仕事に問題点はないのか?を探りたいと思います。
今回は訪問介助の実例と、訪問介助を受けるための家を探すポイントについてお話します。
アイスブレイク
(今週のお題「キャンプ」)
アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。
今週のお題は「キャンプ」です。
キャンプは昔よくやっていましたが、その経験で思ったきちほーしの結論。
キャンプはダイエットに悪い!
なぜならキャンプのメインは食べることと寝ることだからです。
食って寝るのがメインなのに対し、運動らしい運動がほとんどありません。
キャンプ道具を背中にかついで山道を歩いてキャンプ場まで運ぶならかなりの運動量ですが、今の時代ほとんどの人が車一つなんじゃないでしょうか。
運動らしい運動といえば、家で車にキャンプ道具を積み込んで、キャンプ場で取り出して、テント組み立てたりして、ちょっと遊んで、テント片付けて、車に積み込んで、っていうくらいでしょう。
キャンプ系・車中泊系のYoutubeを見ても食って寝るだけのシーンがほとんどです。
キャンプ系・車中泊系のYoutuberに憧れはします。
ですが実際にやったら太るだけだな~と冷めたりもしています。
書籍概要
タイトル
ズレてる支援!――知的障害/自閉の人たちの自立生活と重度訪問介護の対象拡大
発売日
2015/11/5
著者
寺本 晃久, 岡部 耕典, 岩橋 誠治, 末永 弘
概要
「支援」は、〈そもそも〉〈最初から〉〈常に〉ズレている! 『良い支援?』刊行から7年。使わせてと訴えた「重度訪問介護」の対象拡大が実現する中、あらためて問われているものとは何か! 支援を使って、地域で自立した暮らしをしている人がいること。集団生活ではなく一対一の支援をモデルにすること……「支援」と「当事者」との間の圧倒的なズレに悩み惑いつつ、そのズレが照らし出す世界を必死に捉えようとする「身も蓋もない」支援の営みの今とこれから!
目次
まえがき ─── 寺本晃久
第一部 ズレてる支援
第1章 生活・支援の実際 ─── 寺本晃久
第2章 何を基準にして支援するか ─── 寺本晃久
第3章 亮佑の自立と自律 ─── 岡部耕典
第4章 ズレてる支援/おりあう支援 ─── 岩橋誠治
第5章 支援は常にズレている ─── 末永 弘
第二部 重度訪問介護の対象拡大と生活の実際
第6章 重度訪問介護という枠組み ─── 寺本晃久
第7章 東京の北多摩地域の事例から ─── 末永 弘
第8章 「重度訪問介護の対象拡大」の経緯とこれからのために ─── 岡部耕典
第三部 次につなげる
第9章 重度訪問介護の対象拡大を重度知的当事者の自立生活支援につなげるために ─── 岩橋誠治
第10章 パーソナルアシスタンスという〈良い支援〉 ─── 岡部耕典
第11章 将来の支援の担い手について ─── 末永 弘
あとがき ─── 寺本晃久
はじめに
どーも!きちほーしです!
きちほーしの子どもキチノは知的障害があります。
この子は親なき後誰かの介助を受けながら生きていくことになるでしょう。
でも介助の内容は具体的にどんなものなのでしょうか?
そこできちほーしが出会ったのは、訪問介助の実態について書かれた書籍「ズレてる支援!」です。
それまできちほーしは介助と言えばグループホームだとばかり思っていましたが、訪問介助という選択肢もあることを知りました。
知的障害者向けの訪問介助とはどんなサービスなのでしょうか?
そして介助という仕事に問題点はないのでしょうか?
このシリーズでは訪問介助の実態について書かれた書籍「ズレてる支援!」についてグッと要約してお話します。
今回は訪問介助の実例と、訪問介助を受けるための家を探すポイントについてお話します。
本記事の範囲
この記事では「まえがき」と「第1章 生活・支援の実際」の一部を要約してお話します。
訪問介助の実例 -二人体制で食事作りから着る服の選定まで-
この章では本書籍の「まえがき」で紹介されている訪問介助の一例についてまとめます。
訪問介助でどこまでしてくれるのか参考になります。
なお、介助者がやるべき業務と、介助者が親切でやってくれた作業の区別はしていません。
- 概要
- 障害者宅のアパートに訪問して介護する
- 介助者は朝番と夜番の2人体制
- 1回の介助時間は3時間/8時間/泊まり
- 詳細
- 障害者のリクエストを考慮して献立を決める
- 食材や生活用品(水切りネットなど)などの買い物(障害者と一緒に行くことも)
- 家計簿をつける(収支が合わない場合はカンタンに調査もする)
- エアコンの設定
- 明日の天気を考慮して着る服を勧める
- 備考
- 障害者が体調を崩したり機嫌が悪いときもある
(会話ができないので原因もあまりわからない)
- 障害者が体調を崩したり機嫌が悪いときもある
家探し
本書籍の「第1章 生活・支援の実際」では、訪問介助を受けつつ自立するためのポイントについて書かれています。
今回は「家探し」についてのお話です。
家探しのポイント
障害者が介助をうけつつ自立生活を送るためには、まず住む場所を確保しなければなりません。
ここでは家選びのポイントをお話します。
介助者が寝泊まりする場合はその部屋が必要
介助者が寝泊まりする場合はその部屋が必要です。
そのため一人暮らしであっても2K以上は必要になるでしょう。
(きちほーし追記)
書籍には書いてありませんが、当然介助者が通いやすい立地であることもポイントでしょう。
車いすを使う場合はバリアフリーが必要
公営住宅はそのような物件もあり、障害者世帯の入居の優先順位が上に来るような枠があります。
グループホームの近隣に住むという手もある
グループホームのサテライト利用という制度があります。
これは、近隣のアパートで一人暮らししつつグループホームの入居者としてサービスを受けられる制度です。
場合によっては一軒家を借りる必要も
障害者の中には足踏みなどの反復行動で日常的に大きな音を出してしまう人もいるでしょう。
これは近隣トラブルになりえます。
そのため一軒家や遮音性の高い物件を借りることも検討したほうが良いでしょう。
不動産業者や大家が後ろ向きな時の対策
知的障害者が家を借りるにあたって、不動産業者や大家が後ろ向きな場合があります。
後ろ向きな理由は以下の通りです。
- 障害者が一人でいて危なくないか
- 家賃がちゃんと払われるか
これらをクリアするための方法は以下の通りです。
- 支援があること・年金や生活保護があることを丁寧に説明する
- まずは家族や支援者の名義で借りて問題がないことを実感してもらう
モノの浪費対策
特定のモノへのこだわりが強い人がいます。
目に見えるところに置いておくと壊してしまったり浪費してしまう場合は、目につかないところに配置するという工夫が必要になります。
(参考)生活・支援の実際
障害者も健常者も支えられながら生きている
「第1章 生活・支援の実際」の冒頭で筆者は「障害者にばかりが介助されているわけじゃない。健常者も支えられながら生きているんだ。」という主旨のことを訴えています。
きちほーしも共感したのでここにピックアップします。
介助は自分らしい暮らしを送るために必要
障害者は介助者によって、衣食住や外出、排泄等の支援を受けます。
至れり尽くせりですが、障害者はこういった介助を受けることで仕事したり友人と遊ぶなど、自分らしい暮らしができるのです。
健常者だって「介助」を受けている
筆者いわく、健常者だって言うなれば介助を受けているのです。
誰かがバス・電車を運転しているから遠出できるし、悩み事があれば誰かに相談したりもします。
金銭管理も家族全員ではなく、誰か一人が請け負ってくれているはずです。
健常者もそうやって自分らしい暮らしを送っているのです。
介助がなければ障害者が生きる場は家か施設しかない
バス・電車など世の中のものは健常者を中心にデザインされています。
そのため障害者は健常者よりも多くの介助が必要です。
介助がなければ障害者は引きこもりになってしまい、生きる場は家か施設しかありません。
だから障害者には介助が必要なんですね。
おわりに
いかがだったでしょうか?
このシリーズでは訪問介助の実態について書かれた書籍「ズレてる支援!」についてグッと要約してお話しました。
まとめ
今回は訪問介助の実例と、訪問介助を受けるための家を探すポイントについてお話しました。
- 訪問介助の実例
- 二人体制で食事作りから着る服の選定までしてくれる
- 訪問介助を受けるための家探しのポイント
感想
訪問介助はコストが大きそう
冒頭に挙げた訪問介助の実例は飽くまでも一例でしょうが、2人体制ということにまずびっくりしました。しかも泊まりの番がある。
かなり至れり尽くせりという印象で、同時にかなりのコストがかかるだろうなという印象です。
逆に言うと障害者はここまでの介助をしないと自立生活できないということなんでしょうね。
介助のコストは「訪問」と「施設」どっちが高い?
以前投稿した介護危機の記事では国や自治体は訪問介護を増やそうとしているということをお話しました。
【本の紹介できるかな?】介護保険施設のサービスの現状 -介護危機 ―「数字」と「現場」の処方箋2-
それだけ施設にかかるコストは大きいということです。
なので知的障害者の介助も同様に訪問介助のほうがコストが小さいように思えますが、一人の障害者に2人の介助者がつくのであればわからなくなります。
グループホームのような少数の介助者で多数の要介助者を介助する体制のほうが人件費のコスパがよさそうですけどね。
でももしかしたら施設のコストは人件費を上回るくらい大きいかもしれませんね。要調査です。