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キャッシュレスを教えよう!ストレスミニマムなキャッシュレス編 - 障害ある子キチノの教育日記5

知的障害あるわが子キチノの将来を考えると、とても心配で仕方ありません。

だから少しでも大丈夫になるように教育したい、でもなかなか難しい。

知的障害ある子の親御さんは皆同じ思いではないでしょうか?

 

わたしたち知的障害者の親は、自分の子供たちにどこまで教えていくことができるのでしょうか?

 

このシリーズでは、知的障害あるわが子キチノに対する教育の試みと、その結果についてお話しします。

 

知的障害のある子供を育てる親御さんたちへの情報共有と、共感の場として、この記事が役立つことを願っています。

前回は現金を使ったストレスミニマムのお店やさんごっこについてお話しました。

今回はキャッシュレスを使ったストレスミニマムのお店やさんごっこについてお話しします。

 

はじめに

 



きちほーしは、わが子キチノにキャッシュレスを教えるべく奮闘しています。

でもキャッシュレスを教えてもなかなか手応えがありません。

それどころかお買い物も分かっていないのかもしれません。

 

そこで前回まではお買い物そのものを理解することを目的に、キャッシュレスをいったんやめることにしました。

なじみのある現金を使ったお店やさんごっこをしたのです。

 

さらに、たくさんあるお買い物のステップの内、マスターさせたいステップ以外を極力省略したストレスがミニマムになるように工夫しました。

例えば、支払総額の計算をしなくて済むように、一品だけ選ぶように制限しました。

お金も10円玉のみにして、お店に渡す金額がわかりやすいようにしました。

 

その結果、キチノはスッキリした顔であっという間にお買い物を終えることができました。

キャッシュレスを使った時や、品を選ぶ数を制限しなかった時は頭にたくさんの「?」を浮かべながらモタモタお買い物していたころに比べ大きな前進です。

  

今回はいよいよ中止していたキャッシュレスを復活させてみることにしました。 

キャッシュレス以外のステップはやっぱりミニマムにします。

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ストレスミニマムのお店屋さんごっことは

ここではストレスミニマムのお店やさんごっこをするために、どのような工夫をしたかお話します。

買える商品は1個だけ

きちほーしが開くお店屋さんは、テーブルの上に3~4個ほどカゴを置いて、それぞれにお菓子を入れます。

各カゴには「1こ30えん」などと書いたラベルを貼ります。

 

以前は1つのカゴに3~4個のお菓子を入れていましたが、今回は1個だけにしました。

そして買えるものは1個だけにしました。

これによって支払額の合計を計算するステップをなくしました。

支払額はラベルを見ればわかります。

支払額は店側(親)が告げる

前回は支払額をキチノに判断させていましたが、今回はきちほーしが告げます。

これで支払額を判断するステップを省略します。

キャッシュレスの細かい操作は親がやる

慣れないキャッシュレスの操作にエネルギーを使いすぎてキャパオーバーになってはいけません。

キャッシュレスの細かい操作は親がやることにします。

今回キチノにやらせたいのは「送金」のみ。

基本的にそれ以外の操作は、教えるよりもきちほーしが操作することを優先するようにしました。

利用するキャッシュレスはPaypayの個人間送金

利用するのはPaypayの個人間送金です。

 

Paypayの個人間送金は、お金をもらう方がQRコードを出して、出す方がQRコードを読みます。

これは小さなお店で、お店がQRコードを出して、お客さんがQRコードを読み込んで支払うパターンに近いです。

できればスーパーでよくあるように、お金をもらう方がQRコードやバーコードを読み込む形にしたいのですが、それができないので仕方ありません。

 

まずはキャッシュレスの利用に慣れてもらうことを目的にします。

そして慣れてきたら、本物のお店でコチラのバーコード・QRコードを読んでもらうパターンを実践してみます^^。

ストレスミニマムのお店屋さんごっこ キャッシュレス編!

お店準備

いつも通りテーブルにお菓子入りのカゴを3~4個並べただけの簡易なお店を開きます。

カゴには「30えん」とか「20えん」と書いたラベルが貼っています。

きちほーし 「キチノ、今日もお買い物するよっ!今日は、お財布使わないよっ!」

 

キャッシュレス準備

きちほーし用のPaypayと、キチノ用のPaypayを用意します。

きちほーし用はお店側、キチノ用はお客さん側という想定です。

まずは起動からです。

 

きちほーし 「じゃぁキチノ、このアプリ(Paypay)をタッチして。」

キチノは言われるままにタッチして、Paypayを開きました。

久々のPaypay操作ですが、キチノはよどみなく操作できました。

手持ち金の確認

キチノにはまず手持ち金の確認をしてもらいます。

現金でお店やさんごっこをしていた時は、キチノのお財布の中のお金を答えさせていたので、今回は利用可能額を答えさせました。

 

きちほーしがキチノのPaypayを操作して、「利用可能額」を表示します。

 

きちほーし 「キチノ。ここに何円って書いてる?」

キチノ 「…………ぜろえん!」

 

キャッシュレスが久々だったせいか最初はとまどっていたようでしたが、比較的順調に対応することができたようです。

 

おこづかい送金

現金でお店屋さんごっこをしていたときは現金50円を手渡しました。

今回はきちほーしのPaypayから50円を送金します。

 

きちほーし 「じゃぁキチノ。おこづかい、50円を上げます!(言いながら送金操作)」

きちほーし 「(キチノPaypayの利用可能額を再表示して)ここに何円って書いてる?」

 

聞いてみたものの、キチノはあらぬ方向に視線を向けていました。

キチノは頭がキャパオーバーになったりストレスがたまるとこのような行動をします。

以前キャッシュレスを教えたときのストレスを思い出しちゃったのか!?

でも今回はストレスがミニマム!(のはず)

とにかく続けました。

 

きちほーし 「ほら、キチノ。ここ、ここ読んで?」

キチノ (下を向いて歌を歌いだす)

きちほーし 「キチノさん、なんて書いてる?何円?ご?ご?」

キチノ 「ごじゅーえん!」

 

ちょっと無理やりでしたが、キチノはなんとか答えてくれました。

 

いよいよお買い物開始!

そしていよいよお買い物開始です。

キャッシュレス以外はストレスミニマムなのですが、果たしてうまくいくでしょうか?

 

きちほーし  「はい、じゃぁキチノ、欲しい物を1つだけ選んでください。1つだけよ?」

キチノ (パッと30円のお菓子をとる)

きちほーし 「はい、30円になりまーす。キチノ、30円ください。」

 

言いながらきちほーしのPaypayにQRコードを出します。

 

きちほーし 「(キチノのPaypayの『スキャン』ボタンを指さして)じゃぁこの『スキャン』をタッチして。そして3…0…『送る』ボタンをタッチして…。」

 

キチノは言われるままに送金操作をします。

ここらへんはややたどたどしいながらも比較的スムーズにできました。

 

きちほーし 「はい!30円いただきました。お買い上げ、ありがとうございました!持ってっていいよ。」

 

言うが早いかキチノはパーっとお菓子を持っていきました。

感想

今回久々にキャッシュレスのお店やさんごっこをやってみました。

キャッシュレスのところ以外は、前回と同じくキチノに計算させたり色々判断させるようなことを最小限にした、ストレスミニマムのお店屋さんごっこです。

途中であらぬ方向に視線を向けたり、歌い出すとという、キチノがストレスを感じた時によくやる行動をしましたが、まぁまぁスムーズ。

キチノの頭に「?」が浮かぶことはあまりなかったようでした。

今後の展開

 



今回と同じことを慣れるまで繰り返す

まぁまぁスムーズだったとは言え、キチノは少しストレスを感じているようです。

あとは慣れだと思うので、今回と同じお店やさんごっこを慣れるまで繰り返して行きたいと思います。

慣れているかどうかはストレス発散の行動をしているかしていないかでわかりますからね^^。

慣れたらバージョンアップ!

慣れてきたらストレスがたまるステップを1つ追加して、お店やさんごっこをバージョンアップします。

どんなバージョンにするかはまだ考えていませんけどね^^;。

 

次はどうしようかなぁ~。

お菓子を2つまで買っていいことにして計算させようかなぁ~。

お高めのお菓子を用意して「買えない」を体験させようかなぁ~。

さらにお金を貯めさせて「貯めれば買える」を体験させようかなぁ~。

まとめ

このシリーズでは、知的障害あるわが子キチノに対する教育の試みと、その結果についてお話しています。

今回はストレスがかかるステップを最小限にした、ストレスミニマムのお店やさんごっこをしてみました。

前回はまずはお買い物に慣れることを目的に、支払いを現金にしました。

そしていよいよ今回はキャッシュレスにしてみました。

 

キチノには久々のキャッシュレスで、ストレスがたまったような行動を取ることもありましたが、おおむねスムーズにクリアできたんじゃないかと思います。

今回少し感じたストレスも、回数を重ねれば慣れていくでしょう。

 

今後は、あと数回このストレスミニマム・キャッシュレスバージョンのお店やさんごっこをしてみます。

そして慣れてきたら、支払いを現金からまたバージョンアップしていこうと思います。

道のりは遠そうですががんばります!

ではまた!

 



 

おまけ

(今週のお代「心に残る店員さんとのお買い物のエピソード」)

ここではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。

今週のお題は「心に残る店員さんとのお買い物のエピソード」です。

 

今回もビックカメラでも電気店でもない、心に残る店員さんのエピソードです。

きちほーしは時々障害者さんが働くレストランに食事に行きます。

 

近所に「このボリュームこのクオリティでこんなに安いの!?」というレストランがあります。

障害者さんのレストランというとこぢんまりしたお店も多いですが、そのお店は10ほどのテーブルとカウンターもある比較的大きなお店です。

お客さんも多く人気店です。

 

健常の支援者にサポートされながら障害者さんが料理を持ってきたりするのですが、たどたどしくてそれが結構かわいい。

お客さんが少ない時間帯はお店の隅で障害者さんたちがなにやら作業をしていたりノートに何やら書いていたり、これもまたホッコリします。

 

健常者のお店では厨房でドタバタしてるような印象がありますが、障害者さんは基本動きがゆっくりだし、ほとんどしゃべらないので、お店がゆっくりほっこりした雰囲気になるんですよね^^。