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知的障害者にキャッシュレスを教える挑戦:ストレスをミニマムにしてみた - 障害ある子キチノの教育日記4

知的障害あるわが子キチノの将来を考えると、とても心配で仕方ありません。

だから少しでも大丈夫になるように教育したい、でもなかなか難しい。

知的障害ある子の親御さんは皆同じ思いではないでしょうか?

 

わたしたち知的障害者の親は、自分の子供たちにどこまで教えていくことができるのでしょうか?

 

このシリーズでは、知的障害あるわが子キチノに対する教育の試みと、その結果についてお話しします。

 

知的障害のある子供を育てる親御さんたちへの情報共有と、共感の場として、この記事が役立つことを願っています。

今回はストレスミニマムのお店やさんごっこについてお話します。

 

 はじめに

 



今きちほーしは、わが子キチノにキャッシュレスを教えるべく奮闘しています。

でもキャッシュレスを教えてもなかなか手応えがありません。

それどころかお買い物も分かっていないのかもしれません。

 

そこで前回は買い物そのものを理解することを目的に、キャッシュレスをいったんやめることにしました。

なじみのある現金を使ったお店やさんごっこをしたのです。

その結果キャッシュレスのときより少し手応えを感じました。

 

きちほーしは手応えがあった要因として、キチノにストレスがかかるステップを少なくしたからだと考えました。

だからもっともっとストレスがかかるステップを減らせばもっともっと手応えを感じるかもしれません。

そしてキチノが最小限ステップのお買い物に慣れたら、徐々にお買い物のステップを増やしていけばいいと思いました。

 

そこで今回はストレスがかかるステップを最小限にした、ストレスミニマムのお店やさんごっこをしてみることにしてみました。

 

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ストレスミニマムのお店屋さんごっことは

ここではストレスミニマムのお店やさんごっこをするために、どのような工夫をしたかお話します。

買える商品は1個だけ

きちほーしが開くお店屋さんは、テーブルの上に3~4個ほどカゴを置いて、それぞれにお菓子を入れます。

各カゴには「1こ30えん」などと書いたラベルを貼ります。

 

以前は1つのカゴに3~4個のお菓子を入れていましたが、今回は1個だけにしました。

そして買えるものは1個だけにしました。

これによって支払額の合計を計算するステップをなくしました。

支払額はラベルを見ればわかります。

手持ち金は10円玉だけ

以前はキチノにはお小遣いとして50円玉を渡していました。

しかしこれだと50円以下のお菓子を買ったときにお釣りが発生し、渡されたお釣りを理解するというステップが発生します。

なので今回は10円玉を5枚をお小遣いとして渡しました。

 

これならお釣りが発生しないし、30円を払うときは10円玉を3枚にすればいいし、20円を払うときは2枚にすればいいだけです。

 

それにいずれキチノにはキャッシュレスを教えます。

キャッシュレスにはお釣りというものが存在しないので、お釣りが発生しない環境は都合が良いのです。

支払額は店側(親)が告げる

前回は支払額をキチノに判断させていましたが、今回はきちほーしが告げます。

これで支払額を判断するステップを省略します。

実践!ストレスミニマムのお店屋さんごっこ

ある日のお店やさんごっこ: キチノのストレスがかなり低減

いつも通りテーブルにお菓子入りのカゴを3~4個並べただけの簡易なお店を開きます。

カゴには「30えん」とか「20えん」と書いたラベルが貼っています。

 

きちほーし 「キチノ、お財布からお金を出して。テーブルに並べて。」

キチノ (とまどいながらも言われるままに10円玉を並べる)

 

きちほーし 「じゃぁキチノ、お菓子選んで。1個だけ、1個だけだよ。」

キチノ (パッとほしいお菓子を1個だけ選ぶ)

きちほーし 「はい、30円です!30円ください。」

キチノ 「???」

きちほーし 「(テーブルの10円玉を指さして)3つちょうだい、それ3つちょうだい。」

キチノ (言われるままに3つ取りあげるが、手渡さずいじりはじめる。)

きちほーし 「そう!それをちょうだい。」

キチノ (言われるままに3つ渡す)

きちほーし 「はい!30円ちょうどお預かりします!お買い上げ、ありがとうございました~!」

 

この後キチノはお菓子を持っていきました。

 

キチノはあまりストレスを感じなかったようで、先日まで頭に「?」を浮かべながらやっていたのが嘘のよう。

お店やさんごっこはあっという間に終わりました。

キチノのお金は徐々に増える

キチノにはお店やさんごっこをやるたびに、おこづかいとして毎回50円を渡しています。

そしてお釣りはキチノのお財布に残したままにしています。

 

つまり50円以下の買い物をすれば、キチノの手持ち金は徐々に増えて、より高いお菓子を買えるようになるのです。

高いお菓子を手に入れるためには、お金をためればいいということを教えようと思ってそうしています。

 

 

また別の日のお店やさんごっこ: キチノが笑顔に…

また別の日もお店やさんごっこをしました。

ただ、この日は商品ラインナップがいつもと違います。

商品の中にキチノが大好きな100円のお菓子を入れておいたのです。

 

キチノのお財布は、今回のおこづかいと合わせて100円になったので、きちほーしは満を持してこのお菓子を出したのでした。

 

きちほーし 「キチノ、じゃぁお店やるよ!」

 

キチノの視線はすでに100円のお菓子に注がれています^^。

 

きちほーし 「キチノ、お財布からお金を出して。テーブルに並べて。何円ある?」

 

今回もキチノはとまどいながら10円玉を並べました。でも先日より少しスムーズになっています。

 

きちほーし 「(10円玉を1枚ずつ指さしながら)10えん、20えん、30えん…」

 

ここできちほーしは続きを言うようキチノに促します。

 

キチノ 「よんじゅーえん、ごじゅーえん、ろくじゅー、ななじゅー、はちじゅー、きゅうじゅー、…、ひゃく!」

きちほーし 「ひゃくえんね」

キチノ 「ひゃくえん!

 

きちほーし 「じゃぁキチノ、お菓子選んで。1個だけだよ、1個だ…」

 

言うが早いかキチノはパッと100円のお菓子を取りました。

 

きちほーし 「はい、100円です!100円ください。」

 

キチノはすぐに反応せずさきほど並べたお金をいじくりだしました。

 

きちほーし 「それ、それちょうだい。ぜんぶ。」

 

しばらくしてキチノはゆっくりとお金を集め始め、きちほーしに手渡しました。

 

きちほーし 「はい、100円おあずかりします。お買い上げ、ありがとうございました!」

 

キチノは満面の笑みで100円のお菓子を持っていきました。

 

これこれ!これです!

 

お金で欲しい物が手に入る喜び。

 

これがキチノに一番教えたかったことなのでした。

だいぶ手応えあり!

お店やんごっこはあっという間に終わりました。

これまでの中で一番手応えがありました!

これまではキチノの頭に「?」がた~くさん浮かんできましたが、今回はあまり出てきませんでした。

このストレスミニマムのお店やさんごっこに慣れたら次はキャッシュレスに

 

今後の展開

 



以上の考察をふまえて、今後は以下のように進めたいと思います。

ストレスミニマムのお店やさんごっこに慣れたらバージョンアップ!

今回はかなり手応えがありました。

なので数回やってキチノが慣れだしたら、次は支払いを現金からキャッシュレスに置き換えます。

ストレスミニマムお店やさんごっこのキャッシュレスバージョンです。

そしてそのキャッシュレスバージョンに慣れたら、また支払額を計算するステップなどを入れ込んでいきます。

まとめ

 



このシリーズでは、知的障害あるわが子キチノに対する教育の試みと、その結果についてお話しています。

今回はストレスがかかるステップを最小限にした、ストレスミニマムのお店やさんごっこをしてみました。

変える商品を1個だけにして、支払額の総計を計算をしなくてもいいようにしました。

キチノに与える現金は10円玉だけにして、現金の総計も計算しなくていいようにしました。

支払額を店側(親)が告げるのも、支払額の総計を計算をしなくてもいいようにした工夫です。

 

その結果、今までで一番手応えがありました。

キチノがお買い物の手順をすんなりこなせるようになったのです。

 

今後は、あと数回このストレスミニマムのお店やさんごっこをしてみます。

そして慣れてきたら、支払いを現金からキャッシュレスに切り替えてみようと思います。

道のりは遠そうですががんばります!

ではまた!

 

 

おまけ

(今週のお代「心に残る店員さんとのお買い物のエピソード」)

ここではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。

今週のお題は「心に残る店員さんとのお買い物のエピソード」です。

 

今までビックカメラ関係のエピソードをなかなか思い出せなかったのですが、今回は思い出せました!

 

ある日のこと、ビックカメラの中でキチノを見失いました。

キチノはフラフラとおもちゃエリアに行くことがあるのでそこにいるんだろうと思いましたがとにかく広い!

くまなく探しましたが見当たりません。

行き違いになったかと思って何度も同じ場所を探したりしましたがやっぱり見つかりません。

 

ふつうの子なら名前を呼べば返事してくれるでしょうが、わが子キチノは知的障害がありあまりしゃべれません。

だからスマホも持たせていません。

 

20分ほど探してもみつからなかったので、いよいよ何かあったのではないかと不安にかられました。

おもちゃエリアと違うフロアに行かれたり、あるいはビックカメラの外に出られると、もうひとりの力では見つかりません。

 

たまたま近くを歩いていた若い男性店員に声をかけ助けを求めました。

名札を見ると店長さんだったようです。

店長さんはご自分のしごとも合ったようですが、すぐに迷子捜索モードに切り替えて、とても親身になって対応してくれました。

頼もしい!さすが若くして店長になられた方は違う!

 

キチノが行方不明なこと。

キチノがしゃべれないこと。

キチノの服装や髪型などの特徴を伝えました。

 

店長さんはすぐ警備員に連絡をとって捜索体制をとってくれました。

キチノがお店の外に出て行ってしまった可能性も考えて、きちほーしが店の外に出た時、店長さんから電話がかかってきました。

 

「お子さん見つかりました!」

 

結局キチノはおもちゃエリアの隣のエリアをウロウロしていたようです。

そこも一応探してたんだけど行き違いだったのか!?

 

きちほーしのおっちょこちょいで店長さんらにご迷惑をおかけしました。

お礼を言いましたが、店長さんらは「ああ、よかったですね」とニコリと笑顔を見せてすぐに仕事に向かって行きました。

 

かっけー!

できる男だぜ!

 

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