このシリーズではでは、障害者の進路について解説した書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」についてグッと要約してお話します。
知的障害・発達障害のお子さんを持つ親御さんはぜひご参考ください。
この記事では、子どもの進路に対する学校や行政がどんな対応をしているか、その現状についてお話します。
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アイスブレイク
(お題「ベイブレードの思い出」)
アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。
今週のお題は、「ベイブレード」です。はっきり言ってきちほーしは世代じゃないのですが、とりあえずどんなものかネットで調べてみました。
見た感じベーゴマの進化版ってところですかね。
ベーゴマは円錐型のツルツルした金属に紐を巻いていくので、なれないとうまく巻けず競技にすら参加できないのですが、ベイブレードはユニットにコマをセットするだけなので誰でも競技に参加できそうです。
あとは最近の仮面ライダーみたいなド派手な装飾がついていていかにも子どもがハマりそうなデザインです。
そしてきちほーしが驚いたのがそのお値段。
B-187 スターター セイバーヴァルキリー.Sh-7 2640円!
たかっ!
ベーゴマといえば駄菓子屋さんで子どもたちが買えるような価格で売っていたはずですよね?
とても子どもたちが自分のお小遣いで買える額じゃありません…。
はじめに
どうも!きちほーしです!
以前きちほーしが調査したところ、知的障害者の3割強が就職、6割強が社会福祉施設に入るとの結果が出ました。
【自分語りできるかな?】知的障害児きちのは独立できるの?親の死後はどうなるの?
ここで言う知的障害者は軽度から重度までを含んでいるでしょうから、就職のほとんどが軽度の人であることは想像に難くありません。
逆に言うと中度以上のほとんどは社会福祉施設に入るのでしょう。
きちほーしの子どもキチノは中度です。
もう社会福祉施設に入ることが決まったようなものです。
でも本当にそれしかないのでしょうか?
もっといろんな道があるのではないでしょうか?
そこできちほーしは、障害者の進路について解説した書籍「特別支援が必要な子どもの進路の話」を読んでみました。
この書籍は障害者の進路の現実を解説してくれていて、それを踏まえて学校や行政任せにせず自分たちでしっかり進路を決めていくことを推奨しています。
このシリーズでは、この書籍について、その概要と、きちほーしが参考になったところをピックアップし、要約(※)して紹介します。
(※)著作権を侵害する恐れがありますので、あえてきちほーしが要約します。
この記事では、子どもの進路に対する学校や行政がどんな対応をしているか、その現状についてお話します。
書籍概要
タイトル
特別支援教育が専門の学校心理士だから知っている 特別支援が必要な子どもの進路の話
著者
山内 康彦
概要
特別な支援が必要な子どもたちは、どう生きていくべきか。小学校や中学校を卒業すれば、それで終わりではない。長い人生を自立して生きていくためには、進路について、なるべく早い段階から考えていく必要がある。
それには何が必要か。特別支援教育が専門の学校心理士である著者が、子どもたちの進路についての方策を具体的に説明する。
目次
第1章 18歳の出口から今の進路や療育を考える
第2章 中学校時代から高校までの進路を考える
第3章 小学校時代から中学校までの進路を考える
第4章 幼・保育園時代から小学までの進路を考える
第5章 未就学期に考えておくこと・取り組んでおくこと
第6章 子どもたちに学力と社会性を身につけさせる工夫(療育教材の紹介)
本記事の範囲
この記事では「はじめに」と1章「18歳の出口から今の進路や療育を考える」の一部について要約してお話します。
これまできちほーしが本を紹介して「はじめに」を要約することはありませんでした。
ですが、この書籍に関してはお届けしたほうが良いと思いましたので紹介します。
はじめに
その子に合った進学・就労・生活設計を考えよう
支援校卒で就労・結婚・自立した子もいれば、高卒で引きこもりになった子もいるようです。
定時制高校から大学に進学した子もいます。
月並みな言い方になりますが、どの進路がダメでどの進路が良いとかではなく、その子に合った人生設計が大事です。
早めに居住地域の支援のあり方を確認しよう
特別支援における教育・福祉環境や進路先は、各都道府県・市町村によってかなり差があるようです。
例えば以下の点が異なります。
これらの情報は行政や学校から積極的に知らせることはないので、こちらから問い合わせる必要があります。
(*1)通級: 小・中学校に通う比較的障害の軽い子どもが一人ひとりの障害に合わせた個別の指導を受ける教室のこと。地域の拠点校にのみ設置されているケースが多い。
1章 18歳の出口から今の進路や療育を考える
今回は、子どもの長期的な進路設計を早い段階で考えておかないと、後々大変な目にあうということをお話します。
ここでは、通常学級を「普通級」、特別支援級を「支援級」、特別支援学校を「支援校」と呼びます。
学校は子どもの将来を見据えた教育はしてくれない
普通級はもちろん、支援級・支援校の先生も毎年変わることが多いようです。
しかも、先生が交代しても子どもの教育状況を引き継がれないケースが多いのです(表面上は引き継ぐように言いますが)。
そのため先生は1年限りの短期的な視点の進路指導が中心になってしまいます。
子どもの療育は将来の進路を見据えて設計することが大事ですが、学校では対応してくれませんので、保護者がしっかり考えておくことが大事です。
障害と健常の中間にある子の進路は不安定
障害の重い子はほぼ間違いなく支援校に行けますし、健常者は高校など普通の学校に行けます。
ですが、その中間のグレーゾーンの子に適した体制がないのです。
以下では、そんな落とし穴の事例を紹介します。
落とし穴事例1: 高校にも行けず支援校にも行けず
ある子は知的の障害が軽くもないですが、さほど重くもないので療育手帳が発行されませんでした。
障害が軽くはないので普通の高校へは進学できず、重くはないので療育手帳が必要な支援校に入学できませんでした。
結局、定員割れのいわゆる「底辺校」に入学したものの、わずか半年で退学し、その後ひきこもりになってしまいました。
落とし穴事例2: 支援級に入ってみたけど普通級に戻れず
ある親御さんは、入学前の教育委員会の勧めで、いずれ普通級に組み込む前提で子どもを支援級に入れることを決めました。
しかしその支援級では知的な遅れが強い子に合わせるため(*2)、遅れが弱いその子の学力と普通級の差はますます開いてしまいました。
また、普通級保護者のクレームで普通級との交流ができなくなりました。
さらに普通級へ戻す予定の年には、支援級を勧めた教育委員会の担当者は転勤していて、後ろ盾を失ってしまいました。
当初の教育委員会の勧めは正解だったのですが、その後のサポート体制が不十分だったのです。
(*2)通常は、知的な遅れが強い子と弱い子は別クラスになります。
子どもの進路は高校卒業から逆算して決めよう
上記のように、いざコッチの進路を取ってみたら思っていたのと全然違ったということがあります。
また、1年や2年の短期間は学校の先生も行政担当者もそれなりに対応してくれますが、それ以上を見据えたサポートや約束はちゃんとしてくれません。
結局長期的な進路については自分たちでしっかり考えていく必要があるのです。
ではどのくらい先を見据えて検討すればいいのでしょうか。
多くの障害者は最終学歴が高卒になるので、高校卒業から逆算して今の教育・療育を見据えるのが良いでしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか?
この記事では、子どもの進路に対する学校や行政がどんな対応をしているか、その現状についてお話しました。
主な内容は以下の通りでした。
- 一般高校だからイイ・支援校だからダメと決めつけず、その子にあった進路を考えた方が良い
- 学校や行政のあり方は地域差が大きいので早めに支援のあり方を確認したほうが良い
- 学校も教育委員会も1-2年で転勤するので、長期的なサポートは期待できない
- 障害と健常の中間にある子は、支援校にも普通校にも行けない可能性がある
- 子どもの進路は高校卒業から逆算して決めたほうが良い
中度の子を持つきちほーしにはまさに知っておいたほうが良さそうです。
次回は、障害者と健常者の違いはなにか?障害者として生きることのメリット・デメリットについてお話します。