成年後見制度の流れを説明した記事は多数ありますが、内容が詳細すぎて全体像がうまくつかめないことはありませんか?
成年後見人とは何か?手続きの流れはどんなものか?
この記事ではこれらのことを、よりわかりやすく簡潔にまとめています。
成年後見人とは?
概要
- 知的障害・認知症などで判断能力が低下した人の財産管理・身上監護をしてくれる人
- 財産管理: 銀行手続・公共料金の支払、家屋・自動車の修繕・売却、遺産分割の協議参加など
- 身上監護: 契約の締結や各種申請、見守り行為など
成年後見人ができないこととは?
- 事実行為・身分行為などはできない
- 事実行為: 生活用品の買物、本人の介護、家事など
- 身分行為: 養子縁組・子の認知、婚姻・離婚の届など
- その他: 遺言作成の代行、病院入院時・施設入所時の保証人、手術や延命治療拒否の同意など
法廷後見人と任意後見人の違いは?
- 法廷後見人
- 本人の判断能力が低下した「後」で申立できる
- 後見人の選定は家庭裁判所が行う
- 家族・親族が後見人になれるとは限らない
- 任意後見人
- 本人の判断能力が低下する「前」に申立できる
- 後見人の選定は本人や親族が行う
- 任意後見監督人の選定は裁判所が行う
- 家族・親族を後見人に指定することができる
費用の相場は?
- 基本報酬: 月額20,000円~60,000円
- 付加報酬: 基本報酬の50%以下の額。遺産分割協議や不動産売却などの特別行為で発生。
法定後見人の手続き
手続き概要
(*1)申立に添付する必要書類については後述
(*2)申立人になれる人については後述
参考資料(法定後見人関連)
後見・保佐・補助開始申立ての手引(東京家庭裁判所後見センター)
法定後見人申立の必要書類
申立人になれる人
- 本人または本人の四親等以内の親族
任意後見人の手続き概要
- 任意後見人の手続きは大きく2つ
- 任意後見契約と公正証書の手続き
- 任意後見監督人の選任の手続き
任意後見契約と公正証書の手続き
手続き概要
(*2)申立人になれる人については後述
(*3)任意後見人受任者とは、任意後見になってもらう人のこと
(*4)公正証書の必要書類については後述
(*5)正確な名称は、公正証書任意後見契約書
(*6)費用=15,000円 x 受任者数(受任者関連の手数量)+15,000円(公証人手数料)
申立人になれる人
- 本人または本人の四親等以内の親族
公正証書依頼の必要書類
申立人が用意する必要書類と、後見受任者が用意する必要書類がある。
任意後見監督人の選任の手続き
手続き概要
(*2)申立人になれる人については後述
(*3)任意後見人受任者とは、任意後見になってもらう人のこと
(*7)任意後見監督人選任の申立の必要書類については後述
(*8)任意後見受任者が任意後見人になる
参考資料(任意後見監督人関連)
任意後見監督人選任の申立ての手引(東京家庭裁判所後見センター)
申立人になれる人
- 本人または本人の四親等以内の親族(「任意後見契約と公正証書の手続き」の申立人と同じ)
任意後見監督人選任の申立の必要書類
書類名 誰が用意する? 備考 申立書類 申込人と後見受任者 家庭裁判所のHPからダウンロードもできる 本人情報シート 本人のケアマネジャー・ケースワーカなど ー 診断書 本人の主治医 書式は家庭裁判所サイトにある 登記されていないことの証明書 法務局 「登記されていないことの証明書」という名前の書類がある 戸籍・住民票、固定資産評価証明書など 市役所等 ― 不動産などの登記事項証明書 法務局 ― 本人の保有財産に関する資料 各金融機関 預貯金・有価証券・保険証券などのコピー 本人の収入予定に関する資料 ― 年金通知書・株式配当金の通知書のコピーなど 本人の支出予定に関する資料 ― 住宅費用や納税額などの領収書等のコピー 任意後見受任者の住民票 任意後見受任者 ― 登記事項証明書(任意後見) 法務局 ― 任意後見契約公正証書 法務局 コピーで良い