「宇宙兄弟」は、夢を諦めずに努力し続ければ、どんな困難も乗り越えられることを教えてくれる漫画です。
しかしこの物語は、組織運営においても多くの価値ある教訓を秘めています。
本シリーズでは、あなたのリーダーシップを変革し、理想的なチームを築くための方法について、書籍「宇宙兄弟『完璧なリーダー』は、もういらない。」から抜粋したポイントを厳選してご紹介します。
この書籍では、完璧なリーダーシップを超えて、より意義のあるアプローチを模索しています
第1回・第2回は、これからの時代にふさわしいリーダーのあり方についてお話ししました。
第3回は組織運営のポイントに焦点を当ててお話しました。
今回は組織運営に関連し、マネージャーとリーダーの違い、チームビルディング、魅力的なリーダーになるポイントについて更に深く探求していきます。。
マネージャーとリーダーの違いに焦点を当て、それらの役割がチームにどのような影響を及ぼすかを明確にします。
また、チームパフォーマンスを高めるために必要な「内面の多様性」についても解説します。
さらに、チームの発達段階に合わせたチームビルディングの重要性を「宇宙兄弟」のエピソードとともに紹介します。
また、魅力的なリーダーになるためにはどのような特徴が必要なのかを探求します。
これらのポイントを参考にして、宇宙兄弟の組織運営の極意を身につけ、理想的なチームを築くための成功の一歩を踏み出しましょう。
本記事の範囲
第4章「チームの成長とリーダーシップ」と第5章「魅力的なリーダーが備えているもの」のポイントをピックアップしてお話します。
マネージャーとリーダの違い
マネージャーの役割
マネージャーは、管理・コントロールすることが役割で、チームビルディングに直接関わりません。
メンバーたちのミッションをかみくだいて、「~~してください」「~~しなければならない」とわかりやすく指示します。
状況をコントロールする能力が求められます。
リーダーの役割
リーダーはチームビルディングに大きく関わります。
「~~したい」という意思で行動し、メンバーの内面に影響を与えます。
マネージャーとリーダーの混同はチームに悪影響
普段「~~してください(しなさい)」と上から指示をするマネージャーが、「~~したい!」と意思を伝えるとどうなるでしょうか。
普段はマネージャーの指示に従って行動しているのに、時々自分の意思を優先して指示に反する行動をとりかねません。
逆にリーダーが指示をしだすと、チームに上下関係が生まれます。
それまで各自の「~~したい!」という意思がかみあって回ってきたのに、各自の意思が関係なくなるとそれが崩壊しかねません。
チームパフォーマンスを高めるポイントとは
「見た目の多様性」ではなく「内面の多様性」
チームパフォーマンスを高めるポイントとして、よく「多様性」が挙げられます。
一口に「多様性」と言っても色々ありますが、どんな「多様性」がいいのでしょうか?
世界中のチーム事例を科学的に分析・検証した書籍「超チーム力」では以下のように述べています。
- チームパフォーマンスを高めるのは、性別・年齢・人種といった「見た目の多様性」ではない。
- 問題解決力・観点・解釈や文化・人生経験・スキル・考え方といった「内面の多様性」を多く取り入れるほど成功しやすい。
「多様性」だけでもチームは成り立たない
「内面の多様性」に富んだメンバーを集めたとしても、悪い方に転ぶとチームが空中分解してしまう危険性もあります。
良い方に転ばせるために必要なポイントとして以下の2つがあります。
- チームのビジョンやミッション、目的と照らし合わせ、必要とする人材を明確にする。
- 「内面の多様性」に富んだメンバーをまとめ、活かせるリーダーシップのある人材を入れる。
チームの発達段階に合わせたチームビルディング
新しいチームに配属されて心機一転!
でもいつもメンバーとはいがみ合いばかりで自己嫌悪になったことはないでしょうか。
でもチームの発達段階を示す「タックマンモデル」を知ると、チームのことをもう少し冷静に見ることができるでしょう。
チームの発達段階に示す「タックマンモデル」
タックマンモデルでは、チームの成長には、形成期・混乱期・規範期・達成期の4つのステージがあるとしています。
以下では、各ステージの詳細を挙げていきます。
また、筆者は漫画「宇宙兄弟」で月面ミッションのチーム・ジョーカーズを関連するエピソードとしてとして触れています。
これも合わせてご紹介します。
形成期
チームの状態
- チームが形成したての初期の段階です。
- ファシリテーションの原則: 共有
- チームに必要なこと: コミュニケーションの量
- メンバーの状態: 依存・他責
- メンバーは自分のすべきこともわからず、肩書上のリーダーからの指示を期待しています。
- 「誰かがなんとかしてくれる」と考えがちでメンバーへの依存が大きくなりがちです。
- メンバーに対して本音が言えず遠慮がちです。
- 次のステージへ進めるのに、コミュニケーションと情報の量が重要です。
漫画「宇宙兄弟」のエピソード
六太を含む月面ミッションのチーム、ジョーカーズが結成されます。
地上での訓練が始まりますがメンバーは個性強く一匹狼気質でまとまりなく、いがみ合いが発生します。
遅れて合流したリーダーエディは初日の挨拶で「俺について来い」ではなく「共に月に立とう」とメンバーと同じ目線で呼びかけました。
この時メンバーは「安心と興奮を同時にくれる。この人は俺たちのリーダーだ」と感情をいだきます。
またエディは、メンバー一人ひとりに、少し深い身の上話を促すことで、コミュニケーションの量を増やすことを実践しました。
混乱期
チームの状態
- チームに試練と挑戦が課せられる段階です。
- ファシリテーションの原則: 発散
- チームに必要なこと: コミュニケーションの質
- メンバーの状態: 自立・自律
- メンバーに独立心が芽生え、自分なりの意見・アイデアが出てくる。意見の対立が出てきます。
- メンバーのエネルギーがチーム内の競争に向けられ、力関係・役割・機能などが表面化します。
- 発言力のある人物がリーダーシップを発揮し、チーム内を仕切ろうとします。
- まだビジョンが曖昧で共有されていません。
- 次のステージへ進めるのに、コミュニケーションと情報の質が重要です。
漫画「宇宙兄弟」のエピソード
ジョーカーズメンバーのカルロはやむを得ない事情で本当の理由を言えず一度チームを抜けます。
抜けた理由が嘘だと気づいたチームの間には亀裂が入るも、カルロが戻って真実を打ち明けた後は関係性が前進しました。
チームメンバーの関係性は、コミュニケーションの質が欠けることで亀裂が入り、埋まることで前進したのです。
規範期
チームの状態
- チームが成長し、ミッションも達成し始める段階です。
- ファシリテーションの原則: 収束
- チームに必要なこと: チームルール・役割・目標への納得感
- メンバーの状態: 共存・共栄
- 自分がチームの中でどのように行動するべきかを、メンバーそれぞれが理解している状態です。
- チーム内の暗黙のルールが築かれます。
- 目的やビジョン、メンバーの役割、責任の範囲が明確になってきます。
- 自分たちで目標やゴールを設定することができるようになります。
- 知識や問題解決の手法が共有されています。
- 「私達のやり方は」といった表現が共通言語になります。
- 次のステージへ進めるのに、チームで合意したルール・役割・目標を達成することが重要です。
漫画「宇宙兄弟」のエピソード
月面ミッション時に太陽フレアの影響で地上管制室との通信も不安定になり、月面では危機的状況に陥ります。
ですが、メンバー各自が管制室との連絡・船外活動の準備・備品整備を自主的に行い、危機を乗り切ることができました。
達成期
チームの状態
- チームの目標が達成され、チームを解散する段階です。
- ファシリテーションの原則: 決定
- チームに必要なこと: 成功要因の振り返り
- メンバーの状態: 統合
- メンバーのエネルギーが共通のゴールに向かって外に向けられていく
- 目的やビジョンを共有し、チームとしての能力が発揮され成果が生まれる
- 目的やミッションを達成することで、成功体験を共有する。
- メンバーそれぞれがリーダーシップを発揮し、役職のリーダーは形式化する
- 本音で話せるようになる
- このチームなら何が起きても大丈夫、と強い信頼関係が生まれる。
漫画「宇宙兄弟」のエピソード
ジョーカーズが地上に戻ってチームが解散する時が「達成期」です。
この書籍の執筆時点では漫画にそのエピソードがまだなかったようです。
魅力的なリーダーになるポイント
最後に、魅力的なリーダーになるためのポイント、逆に魅力をなくしてしまうリーダーのポイントについてお話します。
失敗が許されるリーダーの特徴とは
- 成功することを前提にしっかり準備しつつも、失敗を覚悟できる
- 失敗にも価値があると認識している
- 失敗しても最後まで諦めず挑戦し続け、「辞める」で責任を取ろうとしない
協力者が集まるリーダーの特徴とは
- 誰よりも考え・誰よりも行動する
- 相手に信用・信頼してもらうより、先に相手を信用・信頼する
- 相手の成功のために、自主的にアシストする
協力者が集まらないリーダーの特徴とは
- 「○○やろう!」と言いつつ人にやらせる
- 相手に信用・信頼してもらわなければ、相手を信用・信頼しない
- 「私がアシストしたからうまくいった!」と恩を売ろうとする
まとめ
今回は、書籍「宇宙兄弟 『完璧なリーダー』は、もういらない。」の第4章「チームの成長とリーダーシップ」と第5章「魅力的なリーダーが備えているもの」のポイントをピックアップしてお話しました。
ポイントは以下のとおりです。
- マネージャーとリーダーの違いを理解し、役割を混同するとかえってチームに悪影響をもたらす
- チームパフォーマンスを高めるポイントは、国籍や性別のような見た目の多様性ではなく、考え方や人生経験など「内面の多様性」である
- 「内面の多様性」に富んだメンバーで交際されたチームが空中分解せずにまとまるために、リーダーの存在が必要である
- チームには形成期・混乱期・規範期・達成期といった4つの発達段階があることを知り、それぞれに合わせたチームビルディングが必要である
- 失敗が許されるリーダーの特徴は、しっかり準備しつつも失敗を覚悟し、最後まで諦めない人である
- 協力者が集まるリーダーの特徴は、誰よりも考え・行動し、相手の成功のためにアシストできる人である
これらのポイントを参考にして、理想的なチームを築くための成功の一歩を踏み出しましょう。
おまけ
(今週のお題「自由研究」)
ここではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。
今週のお題は「自由研究」です。
いやぁ。
ホン~~~~マに。
しょうもないネタばかり研究テーマにしていました。
子供らしくチープなネタであればいいのですが、ウケをねらってすべりまくったネタでした。
発表したあとにみんながポカーンとしていたのを今でも忘れません^^;。
というわけできちほーしの自由研究については、ちょっと勘弁してください。
書籍概要
タイトル
宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。
発売日
2018/03/20
著者
長尾彰
概要
人気コミック『宇宙兄弟』から学ぶ次世代リーダー論
チームづくりの専門家でもある著者・長尾彰氏が、
TVアニメや実写映画にもなった人気マンガ『宇宙兄弟』に
登場する数々のエピソードやセリフを引用し、
自分の強みを活かしながらリーダーシップを発揮する方法や、
理想のチーム作りを指南する!
目次
第1章 どんな人でも必ずリーダーになれる
第2章 愚者風リーダーシップのススメ
第3章 自分らしいリーダーシップを発揮するコツ
第4章 チームの成長とリーダーシップ
第5章 魅力的なリーダーが備えているもの