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【知的障害者向け訪問介助】介助の難しさ1 – 書籍「ズレてる支援!」4

このシリーズでは訪問介助の実態について書かれた書籍「ズレてる支援!」についてグッと要約してお話します。

この書籍の内容を理解することで、知的障害者の介助とはどんな仕事なのか?介助という仕事に問題点はないのか?探りたいと思います。

 

今回と次回とで、介助という仕事の難しさについてお話します。

 

 

アイスブレイク

今週のお題「防寒」)

アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。

今週のお題は「防寒」です。

 

防寒と言えば、手袋とかセーターとか色々ありますが…。

ありきたりですねぇ^^;。

 

うーん、強いて言うならネックウォーマーですかねぇ?

外でも着ますが、寝るときも着ます。

きちほーしは寒い時期に首や方が冷えて風邪をひいてしまうことがよくあります。

だからそれを防ぐためにネックウォーマーをしています。

 

 

 

 

はじめに

どーも!きちほーしです!

きちほーしの子どもキチノは知的障害があります。

この子は親なき後誰かの介助を受けながら生きていくことになるでしょう。

しかしきちほーしは介助者が具体的にどんな介助をするのか知りません。

それ故不安なのです。

知的障害者向けの訪問介助とはどんなサービスなのか?

そして介助という仕事に問題点はないのか?

介助の問題点が分かれば改善点も見えてくるはずです。

そこできちほーしが出会ったのは、訪問介助の実態について書かれた書籍「ズレてる支援!」です。

今回と次回で介助の難しさについてお話します。

本記事の範囲

この記事では書籍の第2章「何を基準にして支援するか」を要約してお話します。

障害者本人の希望がわからない場合がある

希望が伝わりにくい

障害者本人が何をして欲しいのか伝えられれば支援はしやすいのですが、伝えられない場合が多くあります。

そのため介助者は実に細かな配慮が必要になります。

例えば洗剤を買う場合でも、安ければいいのか決まった銘柄があるのか選択の幅があります。

もちろんそういった判断は洗剤に限らずいろんな物事で判断しなければなりません。

そうなると障害者本人に判断を求めるより、買い物など色んな経験を一緒に重ねて介助者が学習することも必要でしょう。

行動パターン・判断パターンは時と場合で異なる

親と同居していた時と、親から離れて暮らしていたときとで、障害者本人の行動パターンや判断のパターンが大きく変わる場合があります。

このように行動パターン・判断パターンはいつも一緒ではないことも配慮しなければなりません。

介助者が誘わないと行動しない場合もある

買い物をするという行為自体も、障害者本人が能動的に希望を出す場合もあれば、介助者が誘えば買い物に行く場合もあります。

買いたいものを本人が能動的に選ぶ場合もありますし、介助者が選べば買う場合もあります。

介助者は障害者本人がどちらかを見極める必要があります。

ちなみに、介助者が選ばないと買わない場合でも、せっかく買った商品がほとんど使われない場合もあります。

 

障害者本人が適切でない希望を出す場合がある

本人が希望する品が、予算の都合だったり、不健康なものだったりで、現実的でない場合もあります。

その場合にどう対処するかもいろいろ配慮しなければなりません。

対処は大きく2パターンあります。

あえて見守る

1つめは「あえて見守る」です。

失敗することがわかっていながらも、あえて本人のやりたいようにさせます。

失敗を経験することも大事と割り切ってこのような対処をします。

介入する

「あえて見守る」が不適切である場合(失敗が許容できないくらい大きいなど)、介助者が本人の希望を止めさせるという対処あります。

あらかじめ障害者本人のできることを把握し介入方針を定める

しかしなんでもかんでも介助者が介入してしまうと障害者本人の行動を萎縮させてしまうことになります。

障害者本人ができることはなるべく本人に任せ、できないことを介助者が支援するのがベストです。

 

ただそれを実現するには2つの課題があることも考慮しなければなりません。

一つは障害者本人がどこまで判断できるのかを見極めること。

もう一つはどの介助者がどこまで介入するのか方針を立てておくことです。

 

介入の仕方1: 失敗の影響が小さいものは障害者本人に任せる

介入方法の1つは、失敗の影響が小さいものは障害者本人に任せるという方法です。

例えば家賃や食費など最低限必要な口座に分けて後見人などの支援者がしっかり管理しておき、余剰金については障害者本人に任せます。

これで余剰金を障害者が浪費してしまっても生活を脅かすことはありません。

介入の仕方2: 障害者本人を交えて話し合う

介入の仕方について本人交えて話し合うという方法もあります。

話し合いと一言で言うのはカンタンですが、クリアしなければならないことが2つあります。

1つは本人が何ができて何ができないのかを明らかにすること。

もう一つはそれを障害者本人に理解してもらうこと。

 

障害者本人ができること・できないことの見極めは難しい

障害者本人ができること・できないことの見極めは難しいのです。

行為を細分化する必要がある

例えば「買い物に行く」という行為ひとつとっても色んなステップがあります。

  1. 欲しい物の希望を考える
  2. 支払いがいくらか考える
  3. 手持ちのお金がいくらあるか考える
  4. 残金を考慮して本当に買うかどうかを考える
  5. どこでどのように買い物ができるかを考える

このうちどのステップができて、どのステップができないのかを見極めなければなりません。

もちろんこういった細分化は買い物に限らずいろんな行為で必要になります。

「できない」の見極めが間違っていることもよくある

介助者が障害者本人の行為を見てできているように見えても、実は違っている場合もあります。

障害者本人がかなり無理をしてなんとかできている場合もありますし、介助者の顔色を伺いながらなんとか取り繕っている場合もあります。

本当はできるんだけど、障害者本人が介助者に仕事を与えなきゃと思ってやらない場合もあります。

障害者本人の目的を見誤り「できない」と判断してしまう

例えば買い物をすることについても目的は様々です。

  • 欲しい物があるから
  • お金を使うこと自体をしたいから
  • 両替をしたいから

目的によって行為のステップは異なります。

なので障害者本人はちゃんと目的に向かって行為をしているのに、介助者が目的を見誤ると誤った行為をしている、つまり「できない」と勘違いしてしまいます。

(つづく)

書籍概要

 

タイトル

ズレてる支援!――知的障害/自閉の人たちの自立生活と重度訪問介護の対象拡大

発売日

2015/11/5

著者

寺本 晃久, 岡部 耕典, 岩橋 誠治, 末永 弘

概要

「支援」は、〈そもそも〉〈最初から〉〈常に〉ズレている! 『良い支援?』刊行から7年。使わせてと訴えた「重度訪問介護」の対象拡大が実現する中、あらためて問われているものとは何か! 支援を使って、地域で自立した暮らしをしている人がいること。集団生活ではなく一対一の支援をモデルにすること……「支援」と「当事者」との間の圧倒的なズレに悩み惑いつつ、そのズレが照らし出す世界を必死に捉えようとする「身も蓋もない」支援の営みの今とこれから!

目次

まえがき ─── 寺本晃久

第一部 ズレてる支援

第1章 生活・支援の実際 ─── 寺本晃久

第2章 何を基準にして支援するか ─── 寺本晃久

第3章  亮佑の自立と自律 ─── 岡部耕典

第4章  ズレてる支援/おりあう支援 ─── 岩橋誠治

第5章  支援は常にズレている ─── 末永 弘

第二部  重度訪問介護の対象拡大と生活の実際

第6章  重度訪問介護という枠組み ─── 寺本晃久

第7章  東京の北多摩地域の事例から ─── 末永 弘

第8章  「重度訪問介護の対象拡大」の経緯とこれからのために ─── 岡部耕典

第三部 次につなげる

第9章  重度訪問介護の対象拡大を重度知的当事者の自立生活支援につなげるために ─── 岩橋誠治

第10章  パーソナルアシスタンスという〈良い支援〉 ─── 岡部耕典

第11章  将来の支援の担い手について ─── 末永 弘

あとがき ─── 寺本晃久