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【知的障害支援できるかな?】成年後見人・保佐人・補助人の違いとは?1

この記事では、成年後見制度の後見人・保佐人・補助人の違いについてお話します。

後見人
成年後見

はじめに

どーも!きちほーしです!

以前の記事でも書きましたが、アメリカのブリトニー・スピアーズ成年後見人の束縛が強すぎて精神的に追い込まれたようです。

そして専門家によれば「ブリトニーの場合は限定的な後見制度でいいはずだが、完全後見制度が適用されてしまった」との見解でした。

完全後見制度はアメリカの後見人制度の中で後見人の権限がもっとも強い制度です。

後見人の権限の強さは被後見人への束縛の強さでもあります。

芸能活動ができるほど判断能力があるブリトニーには完全後見制度の束縛はキツかったのかもしれません。

この件はきちほーしにも大いに参考になりました。

きちほーしの子供のきちのには知的障害があり、将来的に成年後見人をつけようかと考えていたからです。

ブリトニーの件は、後見人の権限の強さは被後見人の判断能力に合わせて適切に選んだほうが良い、ということを示唆しています。

では知的障害がある子の後見人にはどの程度の権限をもたせるとよいのでしょうか?

そもそも日本では後見人の権限の強さを、被後見人やその親族がどこまで選べるのでしょうか?

この記事では日本の成年後見制度における後見人の権限の強さについてお話します。

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成年後見人とは?

成年後見人とは、知的障害・認知症などで判断能力が低下した人の財産管理・身上監護をしてくれる人のことです。

成年後見人には2種類があります。

1つは、被後見人の判断力が低下した「後」で家庭裁判所が選定をする法定後見人です。

もう1つは、被後見人の判断力が低下する「前」に親族などが契約できる任意後見人です。


知的障害者の場合はすでに判断力が低い場合が多いので、法廷後見人でも任意後見人でもつけることができるでしょう。

ですが、多くの場合は法廷後見人を検討するようです。

まずは法廷後見人の権限の強さについてお話しします。

後見人・保佐人・補助人の違い

法廷後見人には権限の強さによって後見人・保佐人・補助人の3類型があります。

後見人・保佐人・補助人の違い(専門用語Ver)

内容は下記の表の通りです。

専門用語が多くてすぐには分かりませんね^^;。

次回はきちほーしが分かりやすくかみ砕いた表もありますので確認してみてください。

後見保佐補助
被後見人の状況事理弁識能力(1)を欠く事理弁識能力(1)が著しく不十分事理弁識能力(1)が不十分
付与が必須の権限日常生活に関する行為以外全ての代理権(2)と取消権(2)民法13条1項(3)に定める行為の
同意権(2)と取消権(2)
なし
付与が選択できる権限なし付与を申し立てた法律行為に関する代理権(2)または同意権(2)付与を申し立てた法律行為に関する代理権(2)または同意権(5)
後見人・保佐人・補助人の違い

用語を1つ1つ解説していきます。

事理弁識能力とは?

事理弁識能力とは「自らが行なった行為の結果法的な責任が生じるということを認識できる能力」のことなんだそうです。

もっと平たくいうと「ものごとの良い悪いを判断できる能力」です。

きちほーしの子供のキチノを例に挙げると、きちのはお店でお金を払うことを理解していません。

だからお菓子が欲しいと思ったらそのまま持ち去ってしまうかもしれません。つまり万引きです。

親が居て「ダメだ」と言えばきちのはやらないので、万引きが悪いことだとある程度理解しているでしょう。

ですがなぜそれが悪いことなのかは理解していません。

おそらくこれは「事理弁識能力が著しく不十分」な状態だと思われます(素人判断ですので間違っていればご容赦を)。

代理権・取消権・同意権とは

代理権・取消権・同意権をまとめるとこんな感じです

  • 代理権: 被後見人に代わって契約などの法律行為を行う権限
  • 取消権: 本人が単独で行った法律行為を無効にする権利
  • 同意権: 本人が単独で行った法律行為を完全に有効にする権利

もっと平たく言うとこんな感じでしょうか

  • 代理権: 被後見人が委託する・しないに関わらず後見人の独断で契約できてしまう権限
  • 取消権: 被後見人が契約したことを撤回できる権限
  • 同意権: 被後見人が契約したことを容認できる権限

代理権は後見人が勝手に契約できてしまう権限なので、取消権や同意権よりも束縛の強い権限という印象があります。

とはいえ、被後見人が契約したことを勝手に取り消すことができる取消権も十分束縛の強い権限です。

同意権も、被後見人は後見人の同意を得ないと自由に契約できないので、やっぱり束縛の強い権限と言えそうです。

民法13条1項に定める行為とは?

民法13条第1項に定める行為とは以下のような行為です。

  1. 貸金の元本の返済を受けること。
  2. 金銭を借り入れたり、保証人になること。
  3. 不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。
  4. 民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。
  5. 贈与すること、和解・仲裁契約をすること。
  6. 相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。
  7. 贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。
  8. 新築・改築・増築や大修繕をすること。
  9. 一定の期間を超える賃貸借契約をすること。

知的障害を持つキチノに関係しそうなのは、3, 6, 7, 9あたりですかね。

いずれも額の大きい契約・取引に関する話なので、ここらへんは本当に信用できる後見人がつかないと安心できませんね…。

後見人・保佐人・補助人のどれにするかは申立時に選べる

後見・保佐・補助開始申立ての手引(東京家庭裁判所後見センター)を見てみると、申立書に「後見人・保佐・補助」のどれかを選ぶ項目があります。

法廷後見人は家庭裁判所の裁量で選びますが、後見人・保佐・補助のどれにするかは申立をする側が選べるようです。

つづく