MENU

【本の紹介できるかな?】障害者たちが作るフレンチレストラン2 – 書籍「障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。」2

このシリーズでは、障害者たちが「稼いで自立」を成功させている事例をまとめた書籍「障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。」についてグッと要約してお話します。

この書籍では喜びと誇りを持って働いている障害者たちを紹介しています。

 

ここで登場する障害者たちはどうやって成功したのでしょうか?

それぞれがどんな活躍をしているのでしょうか?

 

今回は「予約の取れないフレンチレストラン」について、前回の続きをお話します。

 


障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。 ソーシャルファームという希望 [ 姫路 まさのり ]

アイスブレイク

(特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」)

アイスブレイクではきちほーしのことをよく知ってもらうため、はてなブログの「今週のお題」をヒントに、本題と少し外れたお話をします。

今週のお題は「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」です。

 

今年は就労施設を探したいです。

以前も知的障害者が働くお店を探したいと書きましたが、もう少し的を絞って、「働いている人の様子が見える」お店です。

少なくとも沖縄にはそういうお店があるようです。

さすがに沖縄に行くのはハードルが高いので、近所でそういうお店がないか探してみます^^。

関連広告

障害別専門支援の就労移行支援サービス【atGPジョブトレ】
Webスキルを身につけ、働き方に自由を【atGPジョブトレIT・Web】
プロと一緒にする転職活動!障害者の就・転職ならアットジーピー【atGP】
障害者の転職
【LITALICOワークス】

障がい者転職【TechAgent-Sana】

 

 

本記事の範囲

この記事では「CASE1 10万円で働き方が変わる ──予約の取れないフレンチレストラン──」の一部を要約してお話します。

創業者・西澤心さんのエピソード(続き)

前回に引き続き、創業者であり支配人である西澤心さんのエピソードをお話します。

ちなみに西澤さんは健常者です。

月収で意識が変わった

お金の価値は生活が豊かになって初めて実感できる

前回お話した通り、共同作業所(今の就労継続支援施設のようなもの)で働く障害者の収入が増えるに連れ、障害者たちの意識が変わりました。

 

2万円で仕事ぶりが変わる。

5万円で生活が変わる。

8万円で未来が変わる。

10万円で働き方が変わる。

これはほのぼの屋では誰もが企業理念のように反芻する言葉です。

高い収入を得るということは障害者の意識を変える上でとても重要であることを、障害者たち自身が実感しているようですね。

薄給では自分の頑張りが豊かさにつながる経験ができない

共同作業所の月の給料(正確には工賃)は2万円になるかどうか。それに障害者年金を合わせて8万円ほど。

薄給しか得られない障害者は、給料を親に渡しておしまいだったり、親に必要なものを与えられるケースが多い。

自分のお金でものを買うことが少ないので、頑張って働くことで生活も心も豊かになれることを彼らはなかなか経験できません。

障害者たちはお金の価値を理解する機会に恵まれないのです。

労働が給料につながり、給料が生活につながることを実感できなければ、障害者たちは働いているのではなく、単に作業をしていると捉えてしまうかもしれない。

筆者の姫路さんはそう思っているようです。

 

一流レストランの創業に向けて

前回は西澤さんらが運営する作業所では月収10万円を目標にし、それを達成したというお話しました。

とにかく月収がアップすることが目標で、不燃ごみの選別作業、古本屋の店番、新聞配達、工務店の工場など、いろんな仕事をかき集めて達成しました。

まだこの頃はフレンチレストランを始めようとは考えていなかったのです。

 

ここではどのようにフレンチレストラン「ほのぼの屋」の創業につながったのかをお話します。

長期の仕事を確保したい

西澤さんが開設した共同作業所では、月収アップに成功したものの、西澤さんは不安に感じていました。

仕事が短期的な契約ばかりだったからです。

さらに作業所の人数も増え、仕事も不足しがちになってきました。

一応古本屋の店舗を自前でかまえてはいますが、それだけでは厳しいから短期の仕事をかき集めてきたのです。

 

一流のフレンチレストランをやろう!

そこで西澤さんはもう一度意見をつのりました。

「もしお店を出すなら、どんなお店をやってみたいですか?」

最も議論が白熱したのが「飲食店」でした。

でもどんな飲食店なら自分たちにできそうなのか?

 

みんなで様々な飲食店にでかけるなど調査しました。

その中で特に魅了されたのが、とあるフレンチレストランでした。

料理はもちろんのこと、あたたかく丁寧に接するスタッフ、食器や椅子にまで高級感を演出する空間。

自分たちが一番素敵だと思った場所を、みんなで作りたい。

「フレンチしかない!一流のフレンチレストランを作ろう!
障害者施設ではなく、同情でお客を呼ぶのではない、
一般のお客様が来てくれるレストランを作る!」

彼らはそう決意したのでした。

 

レストランの建設に2億4千万円

西澤さんらはフレンチレストランの創業に向けて着々と準備を進めました。

 

まずはお金。

レストランの建設費用は2億4千万円。

国や自治体の補助金や借金によってなんとかかき集めました。

 

そしてスタッフの準備。

接待やお皿の扱いの指導など、準備を重ねてきました。

 

そうしてフレンチレストランのオープンを待ったのです。

 

住民の反対で中止

ところが建設予定地の住民から反対運動を受けました。

西澤さんらが誠心誠意説明しつくしたも受け入れられません。

「障害者は怖い」

「何があるかわからん」

結局当初の予定地で開業する計画は中止となりました。

 

障害者施設建設の反対運動はよくある話

西澤さんらのケースに限らず、障害者施設建設の反対運動は全国でよくある話なんだそうです。

障害者施設の必要性は分かる、社会的意義も理解できる。

でもそれを自分たちの地域にできることは許せない。

それが筆者の姫路さんが感じていることなんだそうです。

 

きちほーしの街にも障害者施設がありますが、街の端っこにひっそりとある印象があります。

特別支援学校も明らかにキャパシティオーバーなのに拡張できないようです。

これらは住民の反対があったがゆえの結果なんだろうと思います。

 

学校では障害者を差別してはいけないと教えられているのでしょうが、健常者の空間に障害者が入ることは歓迎されない。

それが現実であり、克服しなければならない課題なのでしょう。

 

丁寧な説明会と食事会で反対者が応援者に

西澤さんらは新しい候補地を探し、最終的に現在ほのぼの屋がある京都府舞鶴市に決まりました。

同じ失敗を避けるため、西澤さんらは地域の自治会に丹念に説明会を行うと同時に食事会を開きました。

こうした地域との折衝にかなりの時間を費やしました。

 

すると当初の反対者が、次第に応援するようになっていったのです。

「美味しいやん」

「頑張ってや」

反対するというのは地域のことを熱心に案じている証拠。

だからこそ、しっかりと働く姿を見てもらい内情を伝えれば、しっかり応援してくれる。

西澤さんらはそう実感したそうです。

フレンチレストラン「ほのぼの屋」オープン

http://www.maizuru-kanko.net/spot/assets_c/2021/06/%E3%81%BB%E3%81%AE%E3%81%BC%E3%81%AE%E5%B1%8B%E5%BA%97%E5%86%853-thumb-650x433-5020.jpg

初日から超満員

紆余曲折あって2002年4月にフレンチレストランほのぼの屋はオープンしました。

地域の説明会が宣伝代わりとなって初日からその日の予約が埋まり、オープン以来連日連夜の満員。

いつしか予約は数カ月先までビッシリ埋まり、予約の取れないレストランになっていきました。

おろそかなサポートが障害者たちを自律的に

オープンした当初、西澤さんは障害者のサポートが自分の役割だと考えていました。

ですが実際オープンしてみると、他の業務に忙殺されてサポートがついおろそかに。

 

それがかえっていい方に転びました。

「指示がないけど、何をするの?」「次に何をすればいいの?」

いつしか障害者たちは自分たちで考えて動くようになったのです。

 

そしてオープンから1年経ったある時、知的障害のスタッフがこうつぶやきました。

「生まれて初めて自分の仕事に誇りが持てている」。

 

「怒られない」働き方から「喜んでもらいたい」働き方へ

ほのぼの屋以前に提供していた仕事は、彼らには『させられている仕事』だったのではないか?

ほのぼの屋で働くことで誇りが持てる主体的な労働へ変化したのではないか?

そうして仕事への意識も「ミスをしない」「怒られない」から「お客様に喜んでもらいたい」と変化したのではないか?

西澤さんはそう分析しています。

 

おわりに

まとめ

前回と今回とで、予約の取れないフレンチレストラン「ほのぼの屋」の創業者である西澤さんのエピソードを紹介しました。

月収を上げることで、障害者たちの人生の意識が変わりました。

いい意味でサポートがおろそかな方が、障害者たちはかえって主体的に働き、仕事への意識も変わることがわかりました。

適切な環境を与えれば、障害者もイキイキとした人生を送れることがわかりました。

次回は、傷害をかかえるほのぼの屋のスタッフの働きぶりについて、お話します。

 

感想

この本は1章からとても興味深く読ませてもらいました。

きちほーしもこれまでネットの記事を読んだりYoutubeを見たりして、就労継続支援施設の様子を調べてきました。

きちほーしが調べたのは世の中の障害者施設のほんの一部なのでしょうが、不安を覚えました。

 

彼らは周囲の人の善意で仕事を与えてもらっているという印象でした。

彼らはそれで幸せなんだろうか?

これは「ほのぼの屋」の創業者である西澤さんも同じように思っているようで、嬉しかったです。

そして「ほのぼの屋」はその解決方法を示してくれたように思います。

 

ただ、それでもきちほーしは心配です。

外食産業はコロナによってかなりのダメージを負ったからです。

現在は外出自粛要請が緩みましたが、また自粛要請がかからないとも限りません。

それにテレワークが普及した今、外食市場もコロナ前より小さくなっているでしょう。

 

飲食店以外で何かないでしょうかね?

 

書籍概要

タイトル

障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。 ソーシャルファームという希望

発売日

2020/03/17

著者

寺本 晃久, 岡部 耕典, 岩橋 誠治, 末永 弘

概要

障がい者は低賃金が当たり前って、おかしくない?
予約の取れないフレンチレストラン、年商2億円、奇跡のクッキー工場、IT、ワイン醸造にアートetc

「稼いで自立」の成功例を紹介する、とっても大事な「お金」の話。

目次

  • CASE1 10万円で働き方が変わる ──予約の取れないフレンチレストラン──
  • CASE2 生きがいの分配 ──年商2億円に届いた奇跡のクッキー──
  • CASE3 福祉×芸術=アール・ブリュット ──試みの先にあるもの──
  • CASE4 ワインとIT ──本当の自立とは何か──

-------------関連広告---------------

障害別専門支援の就労移行支援サービス【atGPジョブトレ】
Webスキルを身につけ、働き方に自由を【atGPジョブトレIT・Web】
プロと一緒にする転職活動!障害者の就・転職ならアットジーピー【atGP】
障害者の転職
【LITALICOワークス】

障がい者転職【TechAgent-Sana】